著者:石田 麻琴

常に「発信できる」情報を探す、「顧客ニーズ」を探す【no.1779】

 先日、とある打ち合わせで「あー、こういうのが大事なんだよなぁ」という話を聞いた。今日のECMJコラムはひとつひとつマーケティングを積み重ねていくこと、の話。

*ゴルフ部の生徒がオーストラリアの大会に出ることに

 とある、高校の話である。その高校にはゴルフ部があるのだけれど、全国大会に出られるほどの選手がいるわけでもない。県内には全国区のゴルフ部がある学校があり、近隣のゴルフの実績がある中学生は推薦で、そちらの全国大会常連の高校に入学してしまう。しかし、この高校のゴルフ部に中学校のゴルフ大会で実績のある生徒がひとり入学した。その理由は「自宅から近いから」。スラムダンクの流川と同じ理由である。

 実はこの学校は新設したばかりで、ゴルフ部自体もそれほど機能していない。また、中学校や高校のゴルフ部というのは、学校としての活動は大会がメインであり、部員全員で集合して練習をおこなう機会というのは実は少ない。ゴルフ部員は学校が終わった後、自分の馴染みのゴルフ場やレッスンプロのところにいって腕を磨くのが通常なのだ。なので、個々人の活動の情報が広がらない、ケースも多い。

 しかしこの生徒、あるアマチュアの大会で入賞し、上位者の権利であるオーストラリア大会に出場することになった。この情報をどこからか先生が聞きつけ、生徒総出で壮行会を開いたというのである。

*常に「広報できる」ネタを探している

 この学校、学校ができてそれほど年月が経っていない、いわゆる新設校である。学校としてはたくさんの入学希望者を募りたいし、人気校になれば収益も安定する。そのためには何としても「外に出せる」情報が欲しいわけだ。今回、この生徒がオーストラリアのいわば「ゴルフの世界大会」に出たことは、「広報できる」ネタでもあるわけだ。ちなみに、大会終了後は学校の広報紙でも写真つきで紹介されるらしい。

 大切なのは「常に『広報できる』ネタを探している」こと。この「常に」という部分が大切で、おそらくだけれどもこの学校の先生方は「生徒がどのような動きをしているかを見逃さない」ことを学校として徹底しているのだと思う。もし生徒が個人的な活動としてボランティアをやっていたり、将棋の大会に出ていたりしていても、常に「紹介する」タイミングを探しているはずだ。こういうのが大事なわけだ。

 この学校、実は姉妹校であり、もうひとつの学校を「県内の進学校」に変えた実績がある。おそらく経営陣もかなりのやり手なのだ。

*常に「発信できる」情報を探す、「顧客ニーズ」を探す

 振り返って自分たちを見てみると、常に「発信できる」情報を探しているだろうか。社員やスタッフ、アルバイトさんに目を配り、情報に耳をかたむけ、「それはお客様に伝えた方がいいね」「それはホームページに記載しておこう」「もしかしたらこういうニーズがあるのかもしれない」というような発想や行動に結びつけることができているだろうか。今回のゴルフ部の生徒と学校の話、一見簡単なことに思えるのだが、「常に徹底する」となると意外と難しいことなのだ。

 人は気を付ければ最初の何か月かはルールを徹底できる、ネタが思いつく限りは情報発信を続けることができる。ただ次第に、「思ったより成果が出ない」「ネタがなくなった」と思いはじめ、数か月でやめてしまう。この「始めて、やめて」を繰り返してしまう。大切なのはテンションが下がってきてから、モチベーションが下がってきてからであり、ここからが頭ひとつ抜けられるかの勝負になるわけだ。

 ネタがなくなったらネタを探せばいい。この学校の先生にとって「生徒のオーストラリア世界大会出場」は努力の末に見つけ出した鉱脈だったのかもしれない。