著者:石田 麻琴

リモートワークは社員と外注・業務委託の存在を曖昧していく【no.1836】

 今回の緊急事態宣言が解除されても、一部リモートワークを継続していく会社が多いと思います。

 4月の上旬からリモートワークに切り替えて、ある程度リモートワークでも仕事が回ることがわかった会社もあると思いますし、今後のウィルス対策のためにもリモートワークにより慣れておきたいという会社さんもあるでしょう。また、満員電車など密な状況を避けるためのスタッフの皆さん側からのリクエストもあるでしょう。

 これまでリモートワークはほぼ浸透していなかったわけですが、今回の件で意図せずして働き方改革が進行してしまったわけなのですが、リモートワークの比重が高くなると疑問になってくるのが「スタッフとの関係性」だと思うんですね。特に、「社員って何だっけ?」を考え始める経営者の方は多いような気がします。

*そもそも「社員」って何だっけ?

 あるひとつの会社に所属し、会社に出勤して仕事をし、お給料をもらう。これまで当然のように多くの社会人がこの行動を繰り替えしてきたわけです。あるひとつの会社に所属すること、あるひとつの場所に通勤すること、あるひとつの仕事をすること、あるひとつの会社からお給料をもらうこと、就業規定があるからといってしまえばそれまでなのですが、リモートワークを契機に「これってそうなの?」という考え方が生まれてきそうです。

 リモートワークであれば、あるひとつの場所に出勤する必要はないですし、働き方改革によって副業も推進されているわけですから、ひとつの会社に所属しなくても、複数の仕事を持っても、もちろんいろんなところからお給料をもらっても良いわけで、それは「あるひとつの場所に出勤する必要はない」ことが実現してしまうことなんですね。リモートワークの推進は、副業を活発にさせていきます。「同じ時間、同じ場所にいなくてはいけない」ことが副業を妨げていたんですね。

*愛社精神は「社員」だから生まれるのか?

 経営者の側からすれば、リモートワークで週1回しか出社しないスタッフが多くなったとしたら、そのスタッフが社員であろうが、外注スタッフであろうが、業務委託契約の方であろうが、どうでもいいと思うようになっていくと思います。リモートワークにおいて大切なのは「成果管理」ですから、求める成果に対しての意識が強まり、極端な話「成果以外」が見えなくなっていく。だとしたら、必ずしも社員である必要もないわけです。週1回はスタッフの皆さんで集まるとしても、外注スタッフも業務委託の方も週1回くらいなら集まれるじゃないですか。

 社員でないと「愛社精神が~」みたいな話もあると思います。社員だからこそ、ひとつの会社に所属しているからこそエンゲージメントが高いだろうという。しかし、これがはたして本当にそうなのかは甚だ疑問です。確かに社員の方がエンゲージメントの高い人は多いでしょうが、外注スタッフや業務委託の方がエンゲージメントが低いとは言えないでしょう。また、外注スタッフや業務契約の方は契約をしている限り仕事を全うしますが、社員はビジネス以外のところで自らの意思で仕事を辞めてしまう可能性があります。

*リモートワークは人間の仕事の仕方を変える

 リモートワークというか、今回の新型コロナウィルスの問題は人間の仕事の仕方を変えていきます。まず所属という概念が以前よりも希薄になります。また社員と外注スタッフ、業務委託スタッフの境目がなくなります。「成果管理」により、足りない部分を外から穴埋めする仕事の作り方に変わっていくはずです。副業をする人も増えますね。

これが幸を生むのか、不幸を生むのかは人によって異なります。「毎日同じ場所に出勤して、同じ時間を共にする」ここに価値があった時代が良かったのか悪かったのか。正直、この先をみないとなんとも言えないですね。