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リモートワークは社員と外注・業務委託の存在を曖昧していく【no.1836】

 リモートワークは社員と外注・業務委託の存在を曖昧していく。(2020.5のコラムです)

 コロナ禍が過ぎてもリモートワークを継続していく会社が多いと思います。

 ある程度リモートワークでも仕事が回ることがわかった会社もあると思います。今後のウィルス対策のためにもリモートワークに慣れておきたい会社もあるでしょう。また、満員電車などを避けるためのスタッフの皆さん側からのリクエストもあります。

 これまでリモートワークはほぼ浸透していませんでした。今回の件で意図せずして働き方改革が進行してしまったわけです。リモートワークの比重が高くなると課題になるのが「スタッフとの関係性」です。特に、「社員って何だっけ?」を考え始める経営者の方は多いような気がします。

*そもそも「社員」って何だっけ?

 あるひとつの会社に所属し、会社に出勤して仕事をし、お給料をもらう。これまで当然のように多くの社会人がこの行動を繰り替えしてきました。あるひとつの会社に所属すること、あるひとつの場所に通勤すること。そしてあるひとつの仕事をすること、あるひとつの会社からお給料をもらうこと。リモートワークを契機に「これってそうなの?」という考え方が生まれてきそうです。

 リモートワークであれば、あるひとつの場所に出勤する必要はありません。働き方改革によって副業も推進されているわけです。ひとつの会社に所属せず、いろんなところからお給料をもらっても良いわけです。それは「ひとつの場所に出勤する必要はない」ことが実現させてしまうことなんですね。リモートワークの推進は、副業を活発にさせていきます。「同じ時間、同じ場所にいなくてはいけない」ことが副業を妨げていたんですね。

*愛社精神は「社員」だから生まれるのか?

 経営者の側からの考え方です。リモートワークで週1回しか出社しないスタッフが多くなったとします。おそらくスタッフが社員でも、外注スタッフでも、どうでもいいと思うようになります。リモートワークにおいて大切なのは「成果管理」です。求める成果に対しての意識が強まり、極端な話「成果以外」が見えなくなっていきます。だとしたら、必ずしも社員である必要もないわけです。

 社員でないと「愛社精神が~」みたいな話もあると思います。社員だからこそ、会社に所属しているからこそエンゲージメントが高いだろうという。しかし、これがはたして本当にそうなのかは甚だ疑問です。確かに社員の方がエンゲージメントの高い人は多いでしょう。しかし、外注スタッフや業務委託の方がエンゲージメントが低い理由にはなりません。また、外注スタッフや業務契約の方は契約をしている限り仕事を全うします。しかし社員は自らの意思で仕事を辞めてしまう可能性があります。

*リモートワークは人間の仕事の仕方を変える

 今回の新型コロナウィルスの問題は人間の仕事の仕方を変えていきます。まず所属という概念が以前よりも希薄になります。また社員と外注スタッフ、業務委託スタッフの境目がなくなります。「成果管理」により、足りない部分を穴埋めする仕事の作り方に変わっていくはずです。副業をする人も増えますね。

 これが幸を生むのか、不幸を生むのかは人によって異なります。「毎日同じ場所に出勤して、同じ時間を共にする」ここに価値があった時代が良かったのか悪かったのか。正直、この先をみないとなんとも言えないですね。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。