著者:石田 麻琴

自分からは「オンラインにしましょう」といわないこと【no.1837】

 打ち合わせやセミナーのオンライン化が進むことによって、相対的に付加価値がついてしまうことがあるんですね。「リアル」です。今後、リアルは付加価値が増します。コロナ前と同じことをしているだけでも、相対的に評価が上がる可能性すらあります。

*あり方はオンラインに代わっていくけれど

 今回の市場環境の変化は、ビジネスとしてフィールドセールからインサイドセールスへのシフトと考えられます。「とりあえず会社に訪問をして意見交換をする」であったり、「名刺交換のご挨拶に伺う」であったり、飛び込み営業や知らない会社への架電、展示会やイベントなどもコロナ前と同じような市場環境には戻らないでしょう。そういう点でいえば「リアル」の価値が下がった、と言えなくもありません。

 打ち合わせやセミナーも「リアル」から「オンライン」にシフトする傾向にあります。この2か月間でオンラインの打ち合わせを一度も経験しなかった人は少ないのではないでしょうか。オンラインのセミナーはわざわざ講演会場に移動する必要もなく、また地方の事業者の皆さんも容易に参加できるということで盛況になっています。

*オンライン上で、はたして本音は出るのか

 ただ、オンラインの打ち合わせやセミナーは情報がオープンになる場でもあります。ZoomなどWEB会議のシステムには「レコーディング機能(録音・録画機能)」がついています。お客様側に断わりを入れることなく、打ち合わせの内容が録画されている、ということもなきにしもありません。オンラインのセミナーにおいても、パソコンのモニター画面の前にスマートフォンを置いておけば全編の録画が可能です。

 発表する資料、そして口頭で発する言葉はオンラインに出た瞬間「公のもの」になると考えるしかないのです。「この資料は社外秘でお願いします」をオンラインの向こうの皆さんに徹底できるわけがありません。そう考えれば、オンライン上で「本音」や「本当の話」は出せないということになります。これが「リアル」が相対的に付加価値を持つ理由です。

 「人に会って話を聞く」。いま敬遠されていることのひとつかもしれませんが、ここに踏み込めるか否かがビジネスのカギを握ることになります。

*オンラインじゃダメなこともオンラインになる

 オンライン化は距離の概念を無くし、時間の概念を無くします。オンラインミーティング、オンラインセミナーという選択肢を得たことでより生産性の高い仕事に時間を使うことができる、という側面はもちろんなのですが、「本当はオンラインにしてはいけないこと」もオンライン化されてきている傾向があるようです。

 たとえば、複数人のメンバーで集まって議論し方針や方向性を決めること。たとえば、新しいプロジェクトについての認識を統一し、各人の役割を決めていくこと。オンラインの打ち合わせは「声がデカい人間が自分の主張をし続ける」パターンになりがちなため、「本当はオンラインにしてはいけないこと」もあるのです。

*自分から「オンラインにしましょう」は言わない

 ただ最近は「それ、オンラインでやりましょうか」が合言葉のようになっています。オンラインの打ち合わせは手軽ですし昨今の状況から「いや、それは会って進めた方が良いと思います」と意見するのも躊躇われるところです。なぜ「オンラインでやりましょう」が流行るかといえば、単純に「楽」だからです。移動しなくていいので楽、スーツを着なくていいので楽だからです。

 ひとつ徹底したいポイントがあります。自分からは「これオンラインにしましょう」といわないことです。本質を掴んでいる人はすでに掴んでいます。「これオンラインにしましょう」ということがネガティブな印象を与える可能性があり得ます。