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自分からは「オンラインにしましょう」といわないこと【no.1837】

 自分からは「オンラインにしましょう」といわないこと(2020.5のコラムです)

 打ち合わせやセミナーのオンライン化が進んでいます。実は相対的に付加価値がついてしまうことがあるんですね。「リアル」です。今後、リアルは付加価値が増します。コロナ前と同じことをしているだけでも、相対的に評価が上がる可能性すらあります。

*あり方は代わっていくけれど

 市場環境の変化でフィールドセールからインサイドセールスへのシフトが起きます。たとえば「とりあえず会社に訪問をして意見交換をする」や「名刺交換のご挨拶に伺う」。たとえば飛び込み営業や知らない会社への架電、展示会やイベント。これらはコロナ前と同じ市場環境には戻らないでしょう。

 打ち合わせやセミナーも「リアル」から「オンライン」にシフトする傾向にあります。すでにオンラインの打ち合わせを経験していない人はいないのではないでしょうか。オンラインのセミナーはわざわざ講演会場に移動する必要がありません。また地方の事業者の皆さんも容易に参加できるということで盛況になっています。

*オンライン上で、はたして本音は出るのか

 ただ、オンラインの打ち合わせやセミナーは情報がオープンになる場でもあります。ZoomなどWEB会議のシステムは「レコーディング機能(録音・録画機能)」がついています。断わりを入れることなく録画されている、こともなきにしもありません。またパソコンのモニター画面の前にスマートフォンを置いておけば全編の録画が可能です。

 資料や口頭で発する言葉はオンラインに出た瞬間「公のもの」になります。「この資料は社外秘でお願いします」をオンラインで徹底できるわけがありません。そう考えれば、オンライン上で「本音」「本当の話」は出せないということになります。これが「リアル」が相対的に付加価値を持つ理由です。

 「人に会って話を聞く」。いま敬遠されていることのひとつかもしれません。ここに踏み込めるか否かがビジネスのカギを握ることになります。

*オンラインじゃダメなこともオンラインになる

 オンライン化は距離の概念を無くし、時間の概念を無くします。この選択肢を得たことでより生産性の高い仕事に時間を使うことができる。これらの側面はもちろんあります。ただ「本当はオンラインにしてはいけないこと」もされている傾向があるようです。

 たとえば、複数人のメンバーで集まって議論し方針や方向性を決めること。たとえば、新しいプロジェクトについての認識を統一し、各人の役割を決めていくこと。オンラインの打ち合わせは「声がデカい人間が自分の主張をし続ける」パターンになりがちです。「本当はしてはいけないこと」もあるのです。

*自分から「オンラインにしましょう」は言わない

 ただ最近は「それ、オンラインでやりましょうか」が合言葉のようになっています。世相から「それは会って進めた方が良いと思います」と意見するのも躊躇われます。ただなぜ「オンラインでやりましょう」が流行るか。ひとつの理由は、単純に「楽」だからです。移動しなくていいので楽、スーツを着なくていいので楽だからです。

 ひとつ徹底したいポイントがあります。自分からは「これオンラインにしましょう」といわないことです。本質を掴んでいる人はすでに掴んでいます。「これオンラインにしましょう」がネガティブな印象を与える可能性があり得ます。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。