ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

インターネット広告の取捨選択方法について【no.1845】

 インターネット広告の活用はデジタルマーケティングを展開する上で欠かせない要素です。

 自社の製品やサービスの受注を増やすためには、自社の製品やサービスの認知や集客を上げなければいけません。まずは広告を使わずに自分たちができるところから始めるのが気持ちとして大切ですが、ビジネスの成長の「時間を買う」ためにインターネット広告をどこかで使うことになります。

 今回はインターネット広告活用の取捨選択についてです。

 まずインターネット広告の活用を検討するにあたって知っておきたいのが、「CPA」と「LTV」のふたつです。

 CPAは「Cost per Acquisition」の略で、日本語で表現をすると「1件あたりの獲得コスト」です。インターネット広告の活用という視点でいえば、「1件の注文をいただくためにどれくらいの広告費を支払うか」と表現することができます。もちろん、このCPAの数字は低ければ低いほど評価が高くなります。

 LTVは「Life Time Value」の略で、日本語で表現すると「顧客生涯価値」なんですが、この日本語だと非常にわかりづらいので「1人(1社)のお客様が利用してくれる合計金額」と認識するのが良さそうです。平均すると1人(1社)のお客様がいくら自社の製品・サービスにお金を使ってくれるのか、ということですね。LTVはCPAと逆で数字が高ければ高いほど良いとされます。(製品・サービスの単価にもよりますが)

 インターネット広告の取捨選択の判断として、シンプルなのが「製品・サービスの単価×利益率>CPA」のケースです。つまり、たった一度お客様に製品やサービスを利用してもらうだけで利益が生まれてしまう場合です。利益額がCPAを上回ってしまうならば、「どんどんインターネット広告を活用しよう」という判断ができなくもありません。

 ただ「製品・サービスの単価×利益率>CPA」になるケースは非常に稀です。この15年20年でインターネットを活用する事業者が増え、それにともなってインターネット広告を活用する事業者が増えた結果、広告費が高騰し、ベースとなるCPAが上がってしまっているのです。シンプルに「製品・サービスの単価×利益率>CPA」この公式に当てはまりづらくなっています。

 狙うべきなのは「LTV×(製品・サービスの)利益率>CPA」の公式です。1人(1社)のお客様が自社の製品・サービスにお金を使ってくれるのかを計算し、トータルで生まれる利益額とCPAを比較するのです。この公式が成り立つならばインターネット広告を積極的に活用していく、という取捨選択の方法があります。

 ただし「LTV×(製品・サービスの)利益率>CPA」の公式を活用するときに困ってしまうのが、1人(1社)のお客様の製品・サービスの提供開始のタイミングがわかっても、提供終了のタイミングがいまいちわからないことです。

 サブスクリプション形式の製品・サービスであれば、お客様の継続が終了した時点で「開始日と終了日」からLTVを算出することができますが、ほとんどの製品・サービスの場合は「終了日」がわからないのです。いつかお客様が再度自社を利用してくれる可能性があります。

 LTVの算出はある程度の期間をみないと予測をすることすらできません。1年前の前年同月に初回利用をしてくれたお客様が、その後1年でどういった購買行動をしてくれているか。この計算を定期的におこなうことでなんとなくの自社のLTVの数値感を知ることができます。

 いずれにせよ、製品・サービス、そして製品とサービスを紹介しているWEBサイトとページをある程度改善したら少額の予算を取ってインターネット広告を使ってみることです。リスティング広告など、いわゆるPPC広告ならば自社のタイミングで出稿と停止ができます。広告を使うことでわかることもたくさんあるはずです。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 8.Eコマースの集客

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。