ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

飲食店のデジタル活用はどこから始めるのか【no.1850】

 先日こんなご質問をいただきました。「飲食店でデジタルを活用する場合はどこから始めれば良いですか」という質問です。

 今回のコロナ禍において、もっとも大打撃をうけている業界が飲食業界ではないかと思います。テイクアウトはEコマース活用によるデジタル化はもちろんのこと、店舗自体によりデジタルを活用する場合はどうすればいいか、という内容です。

 本日のコラムは飲食店のデジタル化についてです。

 まずデジタルの活用において押さえておきたいのが「デジタルの活用の目的」です。次に紹介するデジタル活用のパターンについて最初に整理しておいた方が良さそうです。

 ひとつ目はデジタルを「売上アップ」のために活用するのか、それとも「コストダウン」のために活用するのかというところです。

 デジタルを活用して飲食店のブランド認知を拡大する、店舗に集客をする、もしくは何かの付加価値をつけて客単価を上げる、といった場合にはデジタルを「売上アップ」に活用することになります。

 デジタルを活用して店舗の在庫を最適化する、システムで自動化することによって固定費を下げる、専門的な人間を雇わなくて良くする、といった場合にはデジタルを「コストダウン」に活用することになります。

 ふたつ目です。デジタルを「リアルの売上のため」に活用するのか、それとも「インターネットの売上のため」に活用するのかというところです。

 前者はひとつ目における「デジタルの売上アップの活用」と被ります。デジタルを活用することによって既存のビジネスの売上に繋げていく考え方です。顧客データの活用などもこの中に入ってきます。

 後者のインターネットの活用は飲食店における「実店舗」ではない、売上をつくることができる販売チャネルを増やすことです。インターネットでテイクアウト、モバイルオーダーを受け付けたり、自社オリジナル商品を開発してEコマース販売を展開したりする、などの方法が考えられます。

 飲食店のデジタル活用というと、まず上記のどの部分を自社に活かすのかを考えることが大切です。勝手ながら個人的な意見としては、まず自社の強みに近い部分から着手してもらいたいところであり、あまり安易に販売チャネルの展開に向かって欲しくない気持ちがあります。

 さて上記のような具体的なデジタル活用の前に、まず取り組んで欲しいのが自社としてのマーケティング活動の運用サイクルをつくっていくことです。そもそもデジタルを活用する前に、自社のマーケティング活動というものを整理していって欲しいのです。

 まずは毎週1時間のマーケティング会議を開くこと。これはマストです。定期的に自社のマーケティング活動が進捗しているかを確認する場がなければ、デジタル活用も「浮かんでは消える」を繰り返していってしまいます。

 もうひとつは飲食店版の「実行数値管理表」をつくること。指標項目は「売上」「来店組数」「来店客数」「注文点数」「客単価」などから始めるのが良いのではないでしょうか。「改善/施策」と「理由/特筆事項」も忘れてはいけません。「次にできそうなこと」の欄を加えられれば最高です。

 毎日決まった数字をつける、毎日前日の改善や施策を入力する、毎日気になったことを入力する、できれば毎日10分間、メンバーで数字について話し合う。そして週に1時間の定例マーケティング会議を開催し、方向性と具体的な施策、担当、進捗の確認をおこなう。これを繰り返していってください。

 デジタル活用とはツールやシステムを導入することだけではありません。インターネットを使うことだけでもありません。毎日決まったデータを確認することが、デジタル活用の本当の出発点です。「そんなことわかっている」本当ですか?やりきれていますか?

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。