ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットだけで自動車が売れてしまう‥テスラのブランドの極み【no.1882】

 少し前の話なのだが知人がテスラを買った。

 ご存じの方も多いと思うが一応説明をすると、テスラはスペースXでも有名なアメリカの起業家・イーロンマスクの自動車会社である。オール電気自動車の近未来的自動車ブランドとして有名だと思うのだが、なぜここまでブランド力があるのかというとそれは私にもわからない。とにかく、テスラはテスラなのだ。

 で、このテスラに乗せてもらった。

 まず車のキーはスマートフォン。スマホをつかって車を空ける。そしてたぶんエンジンをかけるのもスマホ。さらに車の中の操作はバカでかいタブレットでおこなわれる。普通の車だとエアコンのスイッチとかカーナビとかいろんなボタンがある位置にただひとつタブレットがドカッと鎮座している。エアコンもカーナビも車のあらゆる指示がこのタブレットでおこなわれるのだ。こんな車当然ながら見たことがない。

 さらに驚くのがテスラの注文の仕方で、これがネット注文だというのだ。ネットで車を選択して、決済のボタンを押すと納期に自宅に車がやってきて納車されるというのである。ということで、私も試しにネットで注文・・の直前までやってみた。モデルを選ぶ、カラーを選ぶ、グレードを選ぶ、そしてオプションを選ぶ、の4つの工程で終了。あとはローンなのか一括なのか決済方法を選択するのみ。

 ちなみにテスラのオプションは1つしかない。そしてそれは自動運転機能なので、シートを本革にするかとか、社内にブラックライトをつけるかだとか、そういった細かいオプションの類はひとつもない。そして、上記に書いたとおりネットで決済方法を選んだら、そのまま納車に向かうのみなのである。テスラを買うために営業マンに会うことがないのだ。ショールームは日本にいくつかあるみたいですけどね。

 いやもう、何から何までがいままでの常識をくつがえしているテスラなんですが、なんでネットで高額な車を人は買えるのかって話なんですよね。テスラで一番安いモデルの「モデル3」でも500万円以上はします。この金額をネット注文してしまうなんて、よくよく考えれば異常なことだと思うんですよ。

 これがこのテスラというブランドの価値だと思いますし、おそらく「いわゆるフツー」の営業マンが営業にきたらテスラのブランドイメージが崩れちゃうんでしょうね。だからネット注文に集約させることはブランドとしても正解なんじゃないかと思います。ただ、ただですよ、500万円の車がネットだけで(人を介さず)売れるってことは、ほとんどの事業者がインターネットでモノを売れる可能性があるということだと思うんですよ。

 じゃあ、他のブランドにはなくてテスラには何があるか、よくわからないけどもネット注文させてしまう何があるのか、そう考えたくなりますよね。

 まあ、実際にこれがあらゆるユーザーにとって決定打になるかはよくわからないのですが、まずテスラには圧倒的な差別性がありますよね。イーロンマスク、スペースX、テスラという「時代の最先端中の最先端」のイメージがある。実際に車を生産する過程は超アナログなのかもしれませんが、最先端の技術を使って車をつくっているイメージがある。レクサスとかメルセデスのようなブランド力のある自動車会社は他にあるけれども、テスラはそれらとは全く異なる軸の存在を確立している。もちろん自動車会社という域を出ない中で。

 でも何気にテスラが立ち上がったのって2008年なんでもう12年も前のことなんですね。やっぱり事をなすには長い時間が必要だってことですし、実際私も身近にテスラを持っている方はこの方だけですからまだまだマーケティングは続いていくのだと思います。ネットだけで500万円の自動車を売る、そのブランド力って何なんですかね。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。