著者:石田 麻琴

コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則。8【no.1896】

 前回コラム(no.1894)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「Eコマース事業の仕事」についてご紹介しました。今回は「お客様を楽しんでもらう仕事とお客様に知ってもらうための仕事」についてお話します。

 前々回のコラムでEコマースのマーケティングについて少し触れ、前回のコラムでEコマースの仕事について触れました。今回のテーマである「お客様を楽しんでもらう仕事とお客様に知ってもらうための仕事」ですが、これはEコマース事業がうまく回っていない多くの会社で曖昧になってしまっているポイントです。

 Eコマースの運営業務は「お客様を楽しんでもらう仕事」と「お客様に知ってもらうための仕事」この2つを同時に回していかなければいけません。どちらかといえば「お客様に楽しんでもらうための仕事」を頑張っている会社が多く、「お客様に知ってもらうための仕事」にいまいち力を入れられていない会社が多いように感じます。まず理解してもらいたいことは、Eコマース事業において「お客様に楽しんでもらうための仕事」と「お客様に知ってもらうための仕事」とはまったく別だということです。

 これがたとえば実店舗のビジネスだと、実店舗という実態が存在し、実店舗に至るための導線が存在し、その導線上を動いているお客様が実店舗の前をとおるうちに商品やサービス、ブランドに興味を持ってくれ、お客様として来店をしてくれる。こんなことがありえます。実店舗はその存在自体で「お客様に楽しんでもらうための仕事」と「お客様に知ってもらうための仕事」の両方を兼ね備えてしまっているところがあるのです。

 しかしネットショップの場合は実態がありません。インターネットという仮想空間のどこかに存在しているだけです。ですので、ネットショップを立ち上げたからといって、お客様が同じ導線をたどってショップにアクセスしてくれるようなことはありません。Eコマースはその存在が「お客様に知ってもらう」ことにはならないのです。ネットショップを立ち上げても、「お客様に知ってもらうための仕事」をして認知・アクセスしてもらえなければ、ネットショップはお客様にとって存在していないものと同じなのです。

 ただ先に書いたとおり、Eコマース事業が上手く回っていない多くの会社が「お客様に楽しんでもらうための仕事」ばかりを日々こなしてしまっています。新商品の発売や登録、商品ページの画像の入れ替え、メールマガジンの発行、バックオフィス系の受注処理や物流やカスタマーサポートの仕事も、どちらかといえば「お客様に楽しんでもらうための仕事」のうちに入るでしょう。大切なのは「お客様に知ってもらうための仕事」の視点を持つことで、「お客様に知ってもらうための仕事=集客=インターネット広告」ということではありません。

 「お客様に知ってもらうための仕事」をつくっていくためのポイントは、「お客様がどうやって自社のネットショップを知ってくれたか」また「どうやったら知ってもらえるか(もらえそうか)」を考えることです。前者ならば、いまネットショップにアクセスしてくれているお客様が「どうやって知ってくれたか」を分析する必要があります。後者であればお客様の動きを予測・整理して、「お客様の思考の流れの中に、自社の商品を置くこと」がポイントになります。

 その際、市場のトレンドや競合ネットショップの動きの情報は欠かせないのですが、「お客様に知ってもらうための仕事」として「市場調査」「競合調査」が定期的におこなえていない会社が多そうです。こちらについても以後のテーマで解説します。まずは「お客様を楽しんでもらう仕事とお客様に知ってもらうための仕事」があることを覚えておいてください。