ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則。19【no.1907】

(こちらは2021年公開のコラムです)

 前回コラム(no.1906)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「ヒット商品を広げる②」についてご紹介しました。今回は「成長期のバックオフィス強化」についてお話します。

 前回のコラムではヒット商品を広げる②と題して、ヒット商品を軸にいかにEコマース事業を成長させていくかという話をしました。しかしEコマース事業は、売上をつくるフロントヤードと商品を供給するバックオフィスの両輪です。売上が伸び、受注が伸びると当然バックオフィスに課題が生まれてきます。今回のコラムでは成長期のバックオフィス強化について考えていきましょう。

 Eコマース事業の成長に悩んでいるお客様にヒアリングをすると、1日の仕事がバックオフィスの仕事だけで終わってしまっている事業者さんをしばしば見かけます。スタート時点の月商ゼロから月商50万円程度のフェイズでは、お客様からの受注量・発送量・問い合わせ量も多くなく、商品を売る「マーケティング」に時間を使えていたものの、月商100万円を超えたあたりから1日の仕事が、受注処理・発送処理・お問い合わせ対応で終わってしまうというのです。Eコマース事業の成長過程の中でよくある話ですので、笑いごとではありません。

 受注処理・発送処理・お問い合わせ対応などバックオフィスの仕事で1日の仕事が終わってしまうとなると、Eコマース事業の次の段階の成長にチャレンジすることができません。Eコマース事業としてハンドリングすることができる絶対的な物量が決まってしまいます。また、新たなマーケティングに使う時間がないわけですから、市場環境が変化したときに乗り遅れ、現在いただいている売上・受注すら失ってしまうことになりかねません。ある一定の受注が入り、バックオフィスの仕事をなんとか回していると「仕事をしてしまっている」気分になれてしまうので注意が必要です。

 売上のフェイズが月商300万円~500万円と考えたとき、受注システムを特段入れる必要はないかと思いますが、ネットショップのシステムの管理画面で1件1件注文を処理するのではなく、CSVデータとして一括でデータを吐き出し、エクセルを使って加工をしながらある程度まとめて注文を処理していく、くらいの効率化は必要になります。物流の管理(発送管理)についてもしかりです。注文票や納品書をベースにして発送する商品をピッキングするのではなく、受注いただいた商品を集計してピッキングをおこなっていきましょう。

 そのためにも重要になるのが社内的な商品マスターの作成です。月商1,000万円~3,000万円以上のネットショップでも商品マスターを整備しきれていない会社さんがいらっしゃったりしますが、商品マスターの整備はネットショップの取り扱い商品が多くなればなるほど、在庫数が多くなればなるほど、入出庫の個数が多くなればなるほど難しくなります。月商50万円~100万円レベルのそこまで受注数が多くない段階で商品マスターの作成と整備をはじめておいた方がいいでしょう。

 特に商品マスターの作成と整備において、後々取り返しがつかない(というか、変更がとても面倒)になるのは「商品ID(商品コード)の振り方のルール」です。商品IDは管理上のすべてのキーになるユニークな存在です。商品IDの桁数の変更、頭につけるカテゴリコードの変更などが途中で入ると、ネットショップで販売している商品ページの変更、在庫商品の変更、過去の受注データの変更など、多くの作業の負荷がかかります。そして変更モレなどがあると、データが大幅にズレたりします。身近なEコマース事業者の仲間などにも相談しながら、「商品IDの今後の可能性」を理解した上で振り方のルールを決めてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。