著者:石田 麻琴

集客や販促企画よりも大切なマーケティング活動ってなに?【no.1938】

 ECMJコラムで前にも書いたかも?な話なのですが、とあるEコマース事業者の社長さんと話していて「はっ!」としたことがあったんですよね。

 その社長さんとEコマースのマーケティングについての意見交換をしていたのですが、どうも話がかみ合わない。私はデータ活用の話とか集客の話とか販促企画の話とかをしていたんですが、その社長さんは若干首をかしげていたんですね。「石田さん。石田さんの言っているマーケティングってなんのことですか?」って。別に悪気があるわけでもなく、本気で言っているのです。そして「僕は勝手に売れるものを作ることがマーケティングかと思っていました」と。

 そのときに「はっ!」としたんですよね。そうだったと。データ活用や集客や販促企画はマーケティング活動において重要なポイントではあるものの、それ以前に最重要なのはあくまで商品づくりだと。そして(簡単ではないですが)「勝手に売れる商品」をつくって販売することができたら、極端にいえばデータ活用とか集客とか販促企画とかっていらないんですね。Eコマースのマーケティングとしてデータ活用や集客や販促企画をおこなうのが「当然」として話していた自分の頭を殴られたかのような感覚でした。

 そういう視点で考えると、Eコマース事業者が本来徹底的にこだわらなくてはいけないところは「商品づくり」であるわけで、ECMJのようなソリューション会社にとっては「サービスづくり」であるわけです。本当であればもっともっと知恵をふり絞って力を使わなければいけないところでありながら、商品づくりはそこそこに、場合によっては他のネットショップでも販売している商品を同じように仕入れている。だからデータ活用や集客や販促企画を「頑張らざるをえない」わけです。たぶん、この社長さんにとっては「頑張りどころ」が間違っているように映るんでしょうね。

 もちろんEコマース事業者として、母体のビジネスや長年営んできた商売から、仕入れの商品でのEコマースが中心になる場合もあるし、ゼロからのオリジナル商品の企画ができない場合もある。それは事業者さんの事情やポジション、スタンスがさまざまあって然るべきですが、「商品づくり、サービスづくり」が成功すれば、その後のマーケティング活動が「はるかに楽になる」ということを常に頭に入れておいた方がいいですよね。この社長さんと話すまで、私も「その後のマーケティング活動の努力」を当たり前のものと考えてしまっていたわけですから。

 ここはこの社長さんとも完全に一致したところですが、やはりEコマースは「利益率だね」というところです。利益率の重要性はEコマースならず、どのビジネスでも高いものかと思いますが、利益率の高さこそ商品やサービスの付加価値のあらわれであり、ビジネスを積み上げていくための土台であり、急な市場環境の変化に対応できる余裕であったりするわけです。利益率が高いことでマーケティングの打ち手の幅を広げることができます。

 他のネットショップと同じものを同じように売っているならば、高い利益率を設定することができません。自社オリジナルの商品だったり、他社にはない付加価値をつけることで高い利益率を設定できるようになります。また、オリジナル商品だったり付加価値がある上で「値付け」というのは実は値段を決める人間の気持ち次第で変えられるものです。原価や仕入れ値から設定するものでは本来ないんですね。商品やサービスの「価値」で値段は決まる。「ウチの商品はこんなものだよね」という殻をやぶって、自信のある商品は一度「高い利益率」で勝負してみるのも良いのではないかと思います。