著者:石田 麻琴

お客様は必ずしもネットショップに「問い合わせ」をしてくれない【no.1978】

 ネットショップの大きな特徴のひとつが「比較が容易」ということでしょう。

 インターネットではないリアルの実店舗であれば、たとえば東京だと、新宿にいって渋谷にいって六本木にいって、銀座にいって、というように商品の比較をするためには時間とお金をかけなければいけません。インターネットの場合は、ご存じのとおりこのコストが限りなくゼロです。お客様は瞬時にネットショップの比較をおこなっていきます。

 この「店舗移動のコストが限りなくゼロに近い」ことを理解した上で考えたいのが、ネットショップ上での情報発信です。今回はSNSやブログなどを活用した、いわゆる集客についての情報発信ではなく、「プレゼント対応ができます」といったネットショップのサービスの情報発信と考えてください。

 たとえば元々BtoB(対法人)向けに商品を販売しているメーカーがネットショップで直販をやっていたとします。元々、対法人相手にビジネスを展開しているわけですから、お客様の「大量購入やまとめ買い」に対応することができるハズではあるのに、その旨がネットショップのサービスとして書かれていません。

 ひとつには「そこまで気が回っていませんでした」という理由があるでしょうし、もうひとつには「もし大量購入やまとめ買いの希望があればお客様が問い合わせてくれるのでは?」という理由があるかもしれません。ここで注意が必要なのは、後者の「お客様のもっているニーズは、お客様が問い合わせてくれるはずだ」という思考です。

 冒頭に書いたとおり、ネットショップ同士の「比較が容易」であることがEコマースの大きな特徴のひとつであり、店舗移動のコストは限りなくゼロです。リアルの実店舗であれば「この商品って大量購入することはできますか?」だったり、「いま売り切れの商品っていつ入荷になりますか?」だったりをお客様は問い合わせ(質問し)てくれるのですが、ネットショップの場合はそうはなりません。

 お客様は自分が持っている疑問を、あなたのネットショップに問い合わせるのではなく、その疑問を解決してくれるネットショップを探すのです。たとえば、同じジャンルの商材を扱っている実店舗が数点並んでいたとしたら、お客様はその実店舗をめぐって、自分の持っている疑問を解決してくれるところを探すはずです。なぜお客様が「聞いてくれるか」といえば、リアルは「店舗移動のコストがある」からです。

 そう考えると、「お客様はネットショップに問い合わせてくれるはず」という理屈はインターネットの世界では通用しないのです。「この商品が大量購入できるか」も「売り切れの商品の入荷時期」もお客様は聞いてくれません。想定できる範囲の「お客様が聞きたいこと」を先に情報として出しておくことが大切なのです。

 ネットショップを運用していると、それでも「この商品って大量購入することはできますか?」だったり、「いま売り切れの商品っていつ入荷になりますか?」だったりといった問い合わせをいただくことがあります。こういった場合は、「同じような疑問をネットショップにもっているお客様がいる。ネットショップに質問をせず、サイレントに他のネットショップにいってしまったお客様がいる」と考え、サイト上で発信ができないかを考えるべきです。

 ネットショップができる対応・サービスはECサイトのページに惜しみなく書いておくことです。わからなければお客様は「質問してくれる」「問い合わせてくれる」だろう、というのはインターネットの世界では通用しない慢心です。