ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの売上が「上がって下がった」ときに読むコラム【no.2031】

 ネットショップの売上が上がらない。

 もともとゼロだった売上が月商10万円や月商50万円にしかならない、ではありません。月商1,500万円だったものが1,000万円になった。月商800万円だったものが月商500万円になった。そんな「売上が上がらない」状態。経験した事業者さん、今まさに経験している事業者さんもいるのではないでしょうか。

 今まで月商500万円だったのに、月商300万円になってしまったら焦ると思います。人件費やオフィス賃料などの固定費はいきなり下げるわけにいきません。市場性がありますから商品の価格を簡単に上げることもできません。どうしても対策は後手後手になります。日々利益が削られていく、日々赤字が積み重なっていく状態もあるかと思います。

*ネットショップは「流れ」で状況は一変する。

 まず売上が突然20%ダウン、30%ダウンしても焦らないことです。EC運営では短期間での数十パーセントの売上ダウンはよくあることです。逆にネットショップの売上が上がった過程を思い出してみてください。その逆も十分にありえることがわかるのではないでしょうか。

 なぜか。ネットショップの売上は「流れ」によって波が上下に大きく動いていくからです。「流れ」を掴むことができればネットショップの売上は加速的に上昇していきます。「流れ」を失うとネットショップの売上はどんどん下がっていってしまいます。この「流れ」が生まれるのは、インターネットの仕組みの特徴です。

*上がればどんどん上がり、下がればどんどん下がる。

 「流れ」を理解するときに上昇気流と下降気流をイメージしてみてください。

 ネットショップで販売している商品がお客様に閲覧され購入いただく。そうすると、ショッピングモールや検索エンジンでの検索結果が上がります。検索結果が上がり露出が強くなります。そして、お客様の検索や情報収集にヒットする確率が上がります。お客様はさらに集まり、ネットショップはさらに閲覧される状態になります。上昇気流にのるとプラスのサイクルが生まれ結果として売上が上がっていきます。

 売上が下がるパターンは逆です。お客様にネットショップが見られなくなる商品が見られなくなります。アクセス人数が下がり受注数が下がります。そうするとショッピングモールや検索エンジンでの検索結果が下がります。ネットショップはさらにお客様から遠くなりさらにお客様が集まらなくなります。下降気流に入ってしまうとマイナスのサイクルが生まれ結果として売上が下がります。

*売上が大きく下がっても焦らない、落ち込まない。冷静に。

 ネットショップ運営には「流れ」があります。上昇気流か下降気流かによって売上は大きく変わっていくものなのです。ですから、月商100万円のネットショップが数か月で月商1,000万円のネットショップに成長することがあります。逆に、数か月で月商500万円のネットショップになってしまう可能性もあるわけです。

 大切なのは売上が10倍になったからといって10倍の実力がついたわけではない。売上が半分になったからといって実力が半分になったわけでもないことです。売上が下がっているときは特に後者の考え方を持つことが重要です。ネットショップは「売上=実力」ではありません。月商500万円と月商1,000万円のネットショップに倍の実力差はありません。

 売上が半分になっても、冷静に対処をしていけば必ずカバーをすることができます。なぜなら、ネットショップ運営者の実力は変わりませんから。

*昔上昇気流で、いま下降気流の理由を探す。

月商100万円が数か月後に月商500万円になる。月商500万円が数か月後に月商1,000万円になる。これらには必ず理由があります。このケースの多くが「商品」によるプラスのサイクルです。いわゆる「ヒット商品」です。

 ヒット商品にお客様がアクセスします。ヒット商品が売れます。検索順位が上がり、インターネット上での露出が強くなります。さらにヒット商品へのアクセスが集中します。売れます。さらに露出が強化されます。運が良ければSNSでシェアされ、何十万という人の目に触れることもあります。

 ネットショップはヒット商品が売上の軸になり、お客様を呼ぶ導線になります。ポイントは上昇気流の間に「上昇気流を起こしている根源」を見つめておくことです。

*上昇気流の根源が絶たれると、一気に下降気流になる。

 上昇気流の根源も永遠ではありません。多くのお客様がアクセスし、注文をするようになると当然競合もそれに気がつきます。ネットショップ内での露出やメルマガ、広告の掲載、モールのランキングや検索順位。そしてSNS、レビューなど、競合はあなたのネットショップのことをよく見ているのです。遅かれ早かれ、対抗馬があらわれます。

 上昇気流の根源が絶たれ、下降気流に入ってしまうケースにはふたパターンがあります。ひとつはトレンド性。一時期話題になった商品でもいつかお客様は飽きます。そして話題性の瞬間最大風速が大きければ大きいほど、トレンド期間が短いのが現実です。季節性もあります。バレンタインデーの商品はいくら人気があっても2月14日前に売上は落ちます。冬に水着がバカバカ売れることもないでしょう。

 もうひとつが厄介です。先に紹介した対抗馬があらわれるパターンです。

*市場を常にウォッチしておく。入れ食い状態は長く続かない。

 大切なのは上昇気流にのっている間も市場を常に確認し、対抗馬ウォッチすることです。仕入れ・小売りのネットショップを運営している事業者さんならわかりやすいはずです。自社の上昇気流の原因をつくっている商品を「他のネットショップではなく、自社のネットショップで選んでもらえる」ように付加価値を付け続けていくこと。そして上昇気流の商品が生きているうちに次の上昇気流をつくれる商品を探すこと。原則はシンプルです。

 仕入れ・小売りではなく、自社オリジナルの商品を販売しているネットショップも「自社と比較されているネットショップ(もしくは商品)」を探すことができるはずです。Eコマースは「10:0」の世界です。後発の競合商品に需要を一気に持っていかれる可能性もあります。市場のマーケティングを欠かさないようにしましょう。

 といっても、上昇気流にのっているうちはこういった地味で手間で面倒な仕事を怠ってしまいがちになるんですよね。

*まず見直すのはルーチン。

 ネットショップの売上が下降気流に入り、滑るように売上が落ちているときです。新しいチャンスへの気持ちをおさえて、まず行うのはルーチンの見直しです。

 上昇気流にのっている時代にルーズになっていたルーチン業務はないでしょうか。お客様へのメールのレスが遅れている。商品が入荷しても登録されていない。ネットショップのそこら中でリンク切れを起こしている。サービス内容が変更されていないページがある。ルーチンを見直すだけで下降気流にストップがかかることもあります。

 まずはルーチンを見直すこと、土台をしっかり固め直すことが大切です。弱くなった土台の上に強い家は建ちません。

*下降気流の原因を探す。

 上昇気流が下降気流に変わったことには必ず理由があります。ネットショップの場合で良くあるケースです。特定の商品が売れなくなり全体のアクセスが減り、結果として下降気流に、です。

 ここを避けるために「商品別販売実績管理表」を定期的に作成する必要があります。定期的に導線商品のアクセスと売れゆきを見て、テコ入れ策を考えるのです。すでに下降気流に入っている場合は過去数か月の「商品別販売実績管理表」を作成して、ネットショップの何の数字が落ちてしまっているのかを把握しなければいけません。

*どの商品がどこのネットショップのどの商品に負けているのか。

 商品へのアクセス、売上、反応が鈍る理由は主にふたつです。ひとつはすでにトレンドを外れてしまっている場合。このパターンは商品ページの改善や集客導線の改善、インターネット広告の活用などでリカバリーができません。ですから、新しいチャンスや可能性に切り替えるしかありません。

 もうひとつは、競合ネットショップにアクセスと売上を取られているパターンです。「商品別販売実績管理表」で分析した商品が季節性・トレンド性のない定番商品であれば、他社に数字を取られてしまっている可能性が高くなります。競合と競合商品のページを確かめ、どうすれば対抗できるかを考えましょう。

*新しいチャンスに挑戦するための要素。

 同じ商品、同じサービスで半永久的に売上を作ることは不可能です。いかにトレンド性のない定番商品とはいえ、いつかは終わりが訪れます。ネットショップも新しい市場、新しいチャンスに挑戦をしていかなければいけません。

 そのためにお客様の「目的・用途・課題解決」を探すことに時間を使いましょう。一度ヒットを飛ばすことができても、二の矢三の矢を飛ばすことができないネットショップは、ここに使う時間が少なくなっています。売上を伸ばしている競合が「何を提供しているのか」に注意してみましょう。

 お客様の「目的・用途・課題解決」のヒントを探るために大切なこと。それ「数値管理表」の「理由/特筆事項」部分を毎日埋めていくことです。「お客様がどんな検索でネットショップにやってきたか」。「お客様がどんな買い方をしているのか」。ちょっとした変化を日々探していってください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。