ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

カート画面からの注文率を定期的にみる【no.2063】

 カート画面からの注文率を定期的にみることが大切だ。

データの取り方はシンプル

 ネットショップ全体のコンバージョン率、商品ページ別のコンバージョン率を定期的に確認しているEC事業者は多いと思う。はたしてカート画面からの注文率は定期的に確認しているだろうか。お客様がお買い物カゴに商品を入れてから、注文ボタンを押すまで。カゴ落ちがどれくらい起こっているのかの分析になる。

 データの取り方は非常にシンプル。お客様がカート画面(お買い物カゴ、バスケット)に到達したデータを取得する。そしてお客様の注文件数(注文数ではない)を集計する。基本的にはこのふたつ(と注文率)のデータだけで良い。あまり複雑になるとチームの理解が追い付かない。データの変化や要因・原因の特定が難しくなる。そして、データの変化からの改善点・施策化に至らなくなる。

 前者のカート画面の閲覧数データはGoogleアナリティクスから取得する。後者の注文件数のデータはECカートのシステムから取得すれば大丈夫。データの取得期間は「月次」。つまり、月に一回、カート画面からの注文率のデータを取得し分析をすることになるわけだ。

「カートボタンを押す」率の事項と分ける

 データは数か月を時系列でみていく。前年同月のデータを確認できることが理想。仮に分析対象が2022年8月だとしたら、2021年8月から毎月のデータをエクセルに落としていく。1列目が「年月」、2列目が「カート画面の閲覧数」、3列目が「注文件数」になる。そして、4列目の「注文率」は「注文件数÷カート画面の閲覧数」の割り算を自動計算する。ちなみに「カート画面の閲覧数」はセッション数(のべ人数)のデータを使って良い。

 データ部分は上記でOK。月次の集計と考えればデータづくりは5分もかからないハズになる。しかしもうひとつ大切なのが、分析エクセルに「要因・原因」の欄をつくり、情報を入力していくこと。これが「注文率」の変化に影響を及ぼした可能性がある事項を特定するためのポイントになる。「なんでそうなったか?」がわかれば「どうすればそうなるのか?」がわかるわけだ。

 このカート画面からの注文率のデータは、あくまでカート画面から何パーセントのお客様が購入に至ったかを分析するためのデータである。つまり、商品ページの良し悪しや価格、販促企画のウケなどは基本的に左右されないと考えて良い。商品ページの良し悪しや価格、販促企画のウケなどは「カートボタンを押す」率に反映される。ここでは純粋にカート画面を閲覧してから注文したか、だ。

カートに入らないと知りえない情報に注意

 そう考えると、この注文率の上下を左右するのは「カート画面に入らないと知りえない情報」になる可能性が高い。価格など商品ページ上の情報はカート画面に入る前に知っているハズだからだ。この「カート画面に入らないと知りえない情報」部分を改善しつつ、定期的に注文率のデータを確認しその変化を見ることで、「成果の壁当て」をしていくわけである。

 ここでひとつ重要なポイントがある。スマートフォンでのEC利用がメインになっている昨今。ネットショップ内のお客様の回遊は商品ページが中心になっている。配送情報や決済情報など、店舗情報を別ページで用意していても、お客様は見ていない可能性があるということだ。つまり店舗情報も「カート画面に入らないと知りえない情報」になりえる。

 もし仮に、ECサイトの送料を変更した場合。たとえば、送料無料ラインを変更した場合。そして、決済方法を変更した場合。カート画面以降の注文率のデータが動く可能性がある。さらに、注文率のデータ変化を我々が特定できなかった場合、それは「カート画面以降に何かしらのシステム変更」があった可能性があるということになる。

 まずはカート画面からの注文率を定期的に見よう。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。