ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

SNS活用における現場と経営陣の「認識のズレ」【no.2117】

 ECのマーケティングにおいてSNSはどういった役割を果たすか。また、どういった役割をもたすのが理想的か。現場と経営陣の「認識のズレ」を埋めるべく、今回のECMJコラムを書きます。

経営者との「認識のズレ」

 EC事業を成長させるためにSNSの活用は避けられないところです。とくに、商品の機能性やデザイン性を伝えるためにはSNSの力は欠かせません。本体のECサイトで美辞麗句を並べるよりも、実際のユーザーの利用シーンを見る方が、その評価は火を見るよりも明らかなわけです。自分たちでは良いことをいくらでも書けてしまいますからね。

 この「SNSの活用」の有用性について、巷の情報網からEC運営スタッフの皆さんだけではなく、経営陣も理解を深めています。知人からの情報や、あらゆるメディアでSNSの話題が並んでいる現代です。「SNSってなに?」の時代は終わったものの、困るのが「認識のズレ」。

 ECならびにマーケティングにおけるSNSの活用を語るとき、なぜ現場と経営陣に「認識のズレ」が生まれるか。それは、「世代」の一言のみでしょう。つまり、私生活でもSNSを使っている人と、あくまで仕事としてSNSを使う人の差。経営陣はSNSが「登録のみ」の可能性すらあります。

YoutubeはEC集客に使える?

 マーケティングで動画が主流の時代になりました。昔は、画像とテキストだけで商品を販売していたECサイト。現在では動画を活用して商品の魅力を伝えるのが通常業務になりつつあります。動画の活用、そしてライブ(生配信)の活用によって、よりニーズにあったリアルタイムでの情報伝達が可能になりました。

 となると、話に出てくるのがYoutubeの活用です。これだけ動画が人気でYoutuberが露出しているのであれば、自社のECでもYoutubeチャンネルを開設すればいいのではないか。こんなことを言い出す上長や経営者がいるのではないでしょうか。ECで商品を売るためにYoutubeチャンネルを開設するケース。これはEC事業としてはちょっと遠回りです。

 なぜならばお客様は商品を探すためにYoutubeにはこない。中立的な立場での「比較動画」ならわかります。しかしそれもブランドがある商品という条件です。また、Youtubeチャンネルを開設したとしても、次にその動画への集客をしなくてはいけません。Youtubeチャンネル自体が集客導線になるわけではないのです。また、Youtubeレベルの動画の撮影をするとなると、それなりのコストがかかります。市場としてYoutuberと戦わなくてはいけませんから、それなりのクオリティが必要です。おまけに、再生回数が少なければブランド価値としての逆効果になってしまうという‥

まずはインスタで動画をがんばろう

 動画の活用について、Instagramで動画を活用するとなると話は一気に変わります。

 まず現在運用しているInstagramアカウントがあることから、動画は現在の情報を補完する役割を果たします。また、動画自体が話題になる(バズる)可能性があり、Instagramへの動画投稿自体が新規顧客に対する集客導線になる可能性もあります。Youtubeのような手の込んだ編集も不要です。おすすめなのがライブ(生配信)であり、クオリティというハードルが一気に下がります。極端にいえば楽しければいいのです。再生回数もInstagramフォロワーに比例するため、ゼロなんてことはありません。

 Youtubeで動画をがんばろう!という前に、Instagramで動画をがんばった方が何倍も効率的なのです。こと、EC事業の成長につなげていくならば、です。もしもEC店長をタレントとして売り出したい、特技を広めたいならばYoutuberもアリかもしれません。

 上長・経営者との「SNS活用の認識のズレ」に悩む現場スタッフの方は多いでしょう。ズレを感じたら「そうですね。はははは」と笑って済ませるのではなく、「いや、それ使い方違うんすよ」と伝えましょう。それが気まずければ、ECMJまでご連絡ください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。