ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

年商1億円のECサイトを目指すための手引き。5【no.2124】

 EC事業を自社の「事業の柱」に育てるとき、最初の目標が「年商1億円」ではないでしょうか。実際に、ご相談を受ける大手企業でも、「まずは年商1億円」という言葉が出てきます。月商1億円のEC事業、これが今回のテーマです。(続編として、年商3億円、年商10億円‥なども書いていきます)。前回のコラムを読んでから、こちらをお読みください。

ECの拡大=アクセス人数の拡大

 前回のコラムは、「売上の公式で唯一何倍にもなるもの」という話で締めました。この「唯一何倍にもなるもの」こそ、アクセス人数(セッション数)です。

 客単価は5,000円から1万円にはなりません。以前のコラムに書いたとおり、「客単価=顧客層」だからです。また「商材=客単価」でもあります。客単価を倍にするためには、顧客層を変えるか、商材を変えるかしかありません。また、転換率(CVR)も2.0倍から4.0倍にはまずなりません。ECサイトのコンテンツが熟成したならば、ヒット商品が出なければ転換率は大きく動きません。また、ネットショップ自体、規模が拡大すれば転換率は落ちるものです。EC事業を年商1億円から年商3億円と成長させるならば、「転換率はむしろ下がるのが正しい」と思っておいた方が良いでしょう。

 そうなると、EC事業の拡大は「アクセス人数の拡大」と言っても過言ではありません。人にECサイトの存在を知ってもらうことこそが、ECビジネス拡大のポイントです。これはECに関わらないすべてのビジネスの摂理かもしれません。

ECサイトへのアクセス導線を押さえる

 では、年商1億円のネットショップに成長するまでのアクセス人数の取り方。そして年商3億円のネットショップに成長するためのアクセス人数の取り方。ここについて考えていきます。

 まず押さえておきたいのが、自社のECサイトにアクセスする導線の種類です。この導線は、大きくわけて3つに分類されると考えましょう。ひとつは、広告。もうひとつは、検索。そして最後に、メディアです。最後のメディアはもはやSNSとニアリーイコールですので、SNSと考えましょう。広告、検索、SNSが主なネットショップへのアクセス導線になります。

 広告、検索、SNSのいずれのアクセス導線をどの順番でどのくらい活用するかは、EC事業の商材やショップのブランド性、そして顧客ターゲットによって異なります。

 日用品や課題解決型の商品など、ニーズ系の商品は検索からの導線が強くなります。たとえば、水は検索から入ってくるお客様が多いですし、育毛剤も「頭髪が不安だ・・」という検索から入ってくるお客様が多くなります。たとえば、これがシャンプーになると一見日用品に思われがちですが、ウォンツ系の商品にもなりえます。ターゲットによってはSNSを主体にしてシャンプーの販売をおこなうケースもあるわけです。ですから、この商材ならば検索、このターゲットならばSNSというわけではなく、「商材×ブランド性×ターゲット」の組み合わせでアクセス導線の強弱が変わってくると考えてください。

広告は「拡大の方向」が見えてから活用する

 ニーズ系の商品、ウォンツ系の商品のいずれもをカバーするのが広告です。なぜならば、広告という手法自体が検索結果やSNSに表示されるものなので、当たり前ですがあらゆる媒体をカバーしているものになります。ただ、広告は「お金がかかる」ものです。ある程度、ECビジネスの「拡大の方向」が見えてから活用するのが通常です。

 ここでいう「拡大の方向」とは、主に2点だと考えてください。ひとつは、顧客の獲得コストです。1人のお客様を獲得するためにどれくらいの費用がかかるか。もうひとつは、顧客の購入金額です。1人のお客様がお客様になってくれると、どれくらいECサイトを利用してくれるのか。この2点、いわゆる「CPA」と「LTV」と呼ばれるものです。

(つづく)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。