ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

年商1億円のECサイトを目指すための手引き。6【no.2125】

 EC事業を自社の「事業の柱」に育てるとき、最初の目標が「年商1億円」ではないでしょうか。実際に、ご相談を受ける大手企業でも、「まずは年商1億円」という言葉が出てきます。月商1億円のEC事業、これが今回のテーマです。(続編として、年商3億円、年商10億円‥なども書いていきます)。前回のコラムを読んでから、こちらをお読みください。

自社のECサイトはどうやってお客様に知られるか

 「売上の公式で唯一何倍にもなるもの」それがアクセス人数(セッション数)です。転換率(CVR)や客単価を倍にするにはECサイトの根本的な改善(というか変更)が必要です。現実的に、EC運営の中で根本的な変更を幾度も加えていくのは不可能でしょう。やはりどのデータ項目を上げるか、といえばアクセス人数です。話はシンプルです。ネットショップの認知を上げ、ECサイトの流入を多くすればいいのです。しかし、ここが難しいところなのですが。

 アクセス人数を増やすためには主に3つの導線があります。広告・検索・メディア(SNS)。この3つを成長のフェーズによって使い分けるのがポイントになります。ここはEC事業における商材やショップのブランド性、顧客ターゲットにより異なります。また、自社サイトでのEC運営、ショッピングモールでのEC運営によっても異なります。様々なケースはありますが、本質的には「自社のECサイトはどうやってお客様に知られるか」を考えることです。

 そのためには、まず自社と同じ商材を販売するECサイトがどのような集客をしているかを調査すること。自社のECサイトを利用してくれるお客様がどこから存在を知ったかを調査すること。自社の対象としている顧客ターゲットがどのようなメディア媒体から情報を得ているか。顧客ターゲットはいまどのあたりをウロウロしているのか。このあたりを調査・研究し、狙いどころを絞ることが大切です。あくまで、いま市場で何が起きているかを徹底的に掘り下げるのです。

ECは「売れるものをもっと売る」ためのもの

 ただ、年商1億円フェーズのネットショップとなると、このあたりの導線についてはある程度突破していると思います。あくまで私のEC運営者時代の話になりますが、年商1億円(月商800万円程度)のフェーズから年商3億円のフェーズ(月商2,500万円)に到達するまではわずか3ヵ月でした。ECのマーケティングが回りはじめると、ECサイトは加速的に成長をしていきます。ご存じのとおり、ECは「売れるものをもっと売る」ためのものなのです。

 では、年商1億円への到達、年商3億円への成長の間のポイントはなにか、といえば「ヒット商品」です。ヒット商品の重要性についてはECMJコラムで過去に何度も紹介しています。ヒット商品は売上の軸になるだけではなく、アクセス導線の軸にもなります。ヒット商品があれば、ヒット商品を経由してショップブランドの認知が高まります。ヒット商品にインターネット広告をかけることによって、より効率的にお客様を集めることができるのです。このヒット商品をいかに探すか、つくるかが年商1億円到達のポイントになります。

 たとえば年商1億円のネットショップで客単価が仮に5,000円だとします。年間の受注件数は20,000件です。この20,000件のうち、ヒット商品の割合は60%~70%になります。ヒット商品の派生商品を含んだ「ヒット商品群」という表現であれば、80%を超えることも普通です。逆に、ヒット商品の割合が30%というような状態はあまりよくはありません。ヒット商品の割合が低く、「ヒット商品と呼べるのか」という問題があります。また、「ヒット商品群」以外の割合が高いということは、販売商品が多く品番管理・在庫管理に負担がかかっている可能性もあります。

 次回は年商1億円のバックオフィスについてご説明します。

(つづく)

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。