ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

SNS担当の仕事とははたして何なのか。2【no.2129】

(no.2128のつづき)

 前回のコラムでは、SNSとは「一方通行」の情報発信手段ではないこと、あくまで「双方向」のものであり、受信者(フォロワー)に対して「反応を促す」ような発信が必要になること、「接触機会」と「接触頻度」を増やし、ブランドをより理解してもらう(伝える)こと。これらについて紹介しました。

 そして最後に双方向のコミュニケーションとは「個別対応」「即対応」であるべきであることと書きました。「SNS担当の仕事とははたして何なのか」後半はここからスタートです。

「反応」に「個別対応」「即対応」を心がける

 SNS上において、発信者(ブランド側・ECサイト運営側)と受信者(フォロワー)は台頭な立場です。これまでの情報発信においては発信者と受信者という明確な立場がありました。SNS上では明確な立場はありません。ブランド側が発信者であると同時に受信者になり、フォロワーも受信者と同時に発信者になる。友達のような関係性です。

 双方向のコミュニケーションというと難しいですが、友達のような関係性だとすれば、情報発信に「反応」した方に「個別対応」「即対応」するのは普通です。「個別対応」は、受信者のひとつひとつの「反応」に合わせた対応(レスポンス)をすること。「即対応」は、受信者の「反応」にできるだけ早く対応(レスポンス)をすること。ここがポイントです。

 SNS運用にきちんと取り組めている状態とは、受信者の反応に対して「個別対応」「即対応」ができている状態を指します。受信者の反応にテンプレートやコピペのような同じ対応をしていてはSNS運用が「できている」状態ではありません。また、受信者の反応に対して3日後、4日後に対応をしているようでは、やはりこちらもSNS運用が「できている」状態ではないといえます。

「対応」にたくさんの時間を使うこと

 発信者と受信者が「友達のような関係性」だとすれば、自分の反応に対して「テンプレのような対応」「数日後のレスポンス」をするブランドは心の中に残らないはずです。そう考えれば、SNS担当の仕事とは実は情報の「発信」にあるのではなく、反応への「対応」にあります。ブランドが強くなればなるほど、ひとつの「発信」に対する反応は多くなります。SNS担当は「発信」よりも「対応」によりたくさんの時間を使うべきなのです。

 「対応」によりたくさんの時間を使う。これはSNS活用のもうひとつのポイントにも関係しています。SNSは発信者と受信者の双方向のコミュニケーションであると同時に、そのコミュニケーションを受信者の周りの人々が受信している状態を起こすことが大切なのです。つまり、ブランドとフォロワーとの「やり取り」をフォロワーのフォロワーが「受信」する。こうやって情報が無限に拡散されていくのです。

SNS担当の仕事とははたして何なのか

 先に書いたとおり、SNSを「一方通行」の情報発信として使っていたら、ブランド側はフォロワーの人数しか情報を伝えることができません。これが双方向のコミュニケーションになると、フォロワーも新たな発信者になるわけですから、フォロワーのフォロワーまで情報が伝わっていきます。これこそSNSの情報拡散の仕組みです。

 これはSNSのアルゴリズム(情報処理方法)にも表れます。そもそもSNSを運営している会社の目的は、人の時間をできるだけSNSに使ってもらうことです。スマホでSNSを見ている時間を長くすればするほど、結果としてSNSビジネスが拡大する仕組みになっています。SNS運営会社の求めている方向を考えれば、「どういうユーザーを優遇するか」は明白です。それは、ここまでのコラムで書いたとおりです。

 ECMJコラムでSNS活用については何度も書いていますが、今回の「SNS担当の仕事とははたして何なのか」で伝えたいことは実はひとつです。SNS担当は「発信」よりも「対応」により時間を使いましょう。ここです。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。