ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

接客がよろしくなくても人気な理由【no.2136】

 自宅の近くに定食屋さんがあるんですね。定食屋さんというか、洋食屋さん。

最後の晩餐で選ぶくらい好き

 結婚していまの街に引っ越してから、元々私がずっと通っていて、いまでは奥さんも子どもも大好きで、週に1回はその洋食屋さんで食べています。というか、厳密にいえば、結婚してから子どもができたタイミングで奥さんの実家近くに引っ越し、子どもが小学校に入学するタイミングでまた戻ってきたのですが、その理由はこの洋食屋さんがあるから。もし明日が人生最後の日だとして、最後の晩餐でなにが食べたいか?と聞かれたら、この洋食屋さんに行きたいっていうでしょうね。それくらい大好き。

 具体的なメニューを書くと特定できそうなので書きませんが、洋食屋さんとしてはいたって普通です。ハンバーグ定食とかメンチカツ定食とか、焼肉定食とか。ただ、どういう調理をしているのか、どういう調味料を使っているのかわからないですが、味付けがとにかく絶妙でご飯がすすむ。一合くらいのご飯でもペロリと食べられるような、少し濃いめの味付け。いやほんとどんな調味料を使っているのかわからないですけど、もちろん変な疑いはないです。このままの味付けでずっといて欲しい。

 ただ、ひとつだけ不満があるとすれば、接客があまりよろしくないんですよね・・

舌打ちされてこわかった笑

 店員さんの構成としては、調理を担当しているオーナーぽいおじさんひとりと、アルバイト(社員さんかもしれない)の女性が3-4名でやっているお店です。お客さんから注文を聞いたり、料理を出したりする担当の若い女性がいるのですが、基本的にダルそうな感じ。「注文は~(ダルそう)」「1,030円(「です」もない)」。「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」すらない。言っているときもありますけどね。基本的にダルそう。私なんぞ料理を置くとき、置きやすいようにコップをずらしたら舌打ちされたことがありますからね。コップをずらした位置にライスを置きたかったみたいで。こわいこわい。

 しかしながら、「接客がよろしくないから直して欲しい」みたいな気持ちはすでになく、「この店はそういうもんだ」と思っている私と奥さんがおります。うちの奥さんはこの洋食屋さんにお弁当を頼むことが多いので、週に1回(だいたい日曜日)に電話注文をするのですが、電話での態度を真似して私を笑わせているくらいです。私と奥さんにとっては「今日はこんな感じだったよ」という笑いのネタなんですよね。そして、「いやー、儲かっているお店は接客適当でもいいんだね」という話にいつも帰結するという。

圧倒的な「商品力」の重要性

 「儲かっているお店は接客適当でもいい」。まあ、店員さんたちがそう思っているかはわかりませんが、接客レベルが(一般的なレベルからするとかなり)低くても、この洋食屋さんにお客さんが入っているのは事実なわけです。これって「きちんとお客様を接客して、売上を伸ばしていこう」っていう、現代のマーケティングの考え方に反していると思うのですが、この考え方を超えるだけの「商品力」があるということなんですよね。もしも美味しくないお店だったら私だって2度といきません。でも、美味しいから週に1回2回かよってしまうという。

 以前のECMJコラムで「売れないものを強引に売ろうとするマーケティングを脱却しよう」みたいなことを書いたかと思うのですが、まさにこの事例ですよね。「お客様を大切にすれば、売上はきっと伸びていく」は必ずしも正しくはなくて、「商品力」を高めることが本質的には事業の継続につながっていくのではないかという。インターネットもマーケティングの手法や型がある程度決まってきている中で、「商品づくり」に寄ってきている部分があります。

 根本的には「食事をしにきている」わけで、接客もさることながら、まず「圧倒的に美味しい」ことが重要なんですよね。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 9.Eコマースこぼれ話

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。