ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

EC事業におけるスケジュール管理と数値管理【no.2137】

 EC運営をしている会社さんにおいて、意外にきちんとできているケースが少ないのがスケジュール管理と数値管理です。

 今回から数回に分けて「理想的なスケジュール管理と数値管理」について解説をしていきます。自社はスケジュール管理と数値管理ができているか、求められる高いレベルで管理できているか。その視点からコラムをお読みください。

 まずはスケジュール管理について解説をしていきます。

 EC運営のみならずですが、スケジュール管理とは目標売上達成のためのアクション(行動)をスケジュールに落とし込むこと、そしてそのスケジュールが設定どおりにおこなわれているか(おこなわれたか)を定期的にチェックすることです。つまり、スケジュール管理にはいくつかの要素があります。

その1:目標売上達成のための行動整理

 EC事業には年次の目標(年商)があり、そして月次の目標(月商)があります。そもそもEC事業の年次目標と月次目標がない会社さんは目標を立てるところから始めましょう。目標の立て方にはいくつかパターンがあります。ECMJコラムでも過去に書いているのでご参考にされてください。

 月次目標が決まっているとして、その目標を達成するために行動を決めます。決められた行動が施行されたときに、目標売上に到達するという想定を出すわけです。目標売上とはあくまで数字ですから、我々が操作することはできません。我々がコントロールすることができるのはあくまで行動です。目標売上を達成するための行動量を決めるのです。

その2:行動内容のスケジュールへの落とし込み

 目標売上を達成するために設定した行動をスケジュールに落としこみます。EC事業の場合、新商品の発売、販促企画の開始、ネット広告の出稿、SNSやPRの活用などの具体的な内容が行動に入ってくるはずです。これを「いつやるか」を決めるのがスケジュールへの落とし込みになります。

 まずはお客様にサービスを提供する日(つまり、新商品の発売日や販促企画の開始日)を決め、その後、付随する準備業務を行動としてスケジュールに落としていきます。新商品の発売であれば、商品企画・撮影・ページ作成・SNS告知などが発売前の準備業務になるはずです。発売後のための準備業務は、ネット広告の入稿・メルマガ配信・追加発注などでしょうか。この準備業務の「解像度」を上げスケジューリングすることが大きなスケジュール管理の重要ポイントになります。

行動計画が「現実的か」を確認する

 ここで紹介した「その1」「その2」について、スタートする前月の下旬までにはあらかたスケジュールを落とし込みます。一旦の「その1」「その2」をつくった上で、議論したいのが「この行動に無理はないか」です。

 「その1」「その2」をつくった時点で、翌月の目標売上に対する具体的な行動が可視化されています。スケジュールに落とし込まれているわけですから、「今日どの準備業務をすればいいか」まで明確にしているはずです。ここでは設定した行動は「現実性があるか」をECチームメンバーで確認していきます。たとえば、準備業務のスケジュールがタイトだったり、複数人の確認が必要な行動があったりする場合、設定したスケジューリングには「現実性がない」ことになります。

 ECチームのリソースは限られているわけですから、限られたリソースをやりくりして行動をスケジューリングしていかなければいけません。ここはECチームのマネージャーの腕の見せ所です。目標売上を達成するための行動を決める、その行動をスケジュールに落とし込む。そして行動が現実的にスケジュールどおりに実践可能かを「解像度」をあげてチェックするのです。

 ここまでが完了して、翌月のスケジュールがスタートするわけですが、スケジュール管理はここでは終わりません。(次回につづく)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。