ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

EC事業におけるスケジュール管理と数値管理。2【no.2138】

(前回no.2137のつづきです)

 EC運営をしている会社さんにおいて、意外にきちんとできているケースが少ないのがスケジュール管理と数値管理です。

 前回のコラムではECのスケジュール管理について、「その1:目標売上達成のための行動整理」「その2:行動内容のスケジュールへの落とし込み」の2点をお伝えしました。この「その1」「その2」を設定した上で、目標売上達成のための行動計画が「現実的か」を検証する必要があります。つまり「行動計画=目標売上」になるかを確認するわけです。

 まずは前月の中旬までにここまでを完了させ、翌月の業務にのぞみます。スケジュール管理において大切なのはここからです。

その3:定例会議でスケジュールを確認する

 できれば毎週1回、月4回~5回のEC事業の定例会議を開きましょう。定例会議でメインの議題にしたいのが、作成したスケジュールの確認です。スケジュールはエクセルやスプレッドシート、もしくは他のツールで作成されるのが通常です。作成したスケジュールと売上進捗を見ながら、定例会議の議論を進めていきます。

 まず、現状の売上進捗の確認です。これはもちろん、あらかじめ設定されている目標売上とリンクしています。目標売上に対して売上進捗はいかほどなのか。想定以上に進んでいるのか、遅れているのか。EC事業の場合、毎日同じ売上を31日間繰り返して月次の実績がでることはまずありません。月内でも新商品の販売や販促企画、広告集客の対策などにより売上の波ができるはずですから、それを加味した上での売上進捗の確認が必要です。

その4:行動計画の状況を確認する

 次に、行動(アクション)のチェックです。週次の定例会議ならば、前回から今回の定例会議にかけて1週間の行動がスケジューリングされていたわけです。こちらが行動計画のとおりに施行されていたのかを確認します。これは売上進捗と目標売上のふたつを正しく評価するためです。もしスケジューリングされていた行動が滞っていたならば、売上進捗は「想定よりも遅れて当然」となります。逆に、スケジューリングされていたとおりに行動が進んでいたならば、目標売上の「想定が高かった」ことになります。

 合わせて、行動が滞っていたならば、その原因や可能性を検討し、対策を考えることが必要になります。「思っていたよりも工数がかかった」「依頼した外注さんが病気になった」など、コントロールできる課題、コントロールできない課題があるはずです。いずれの課題にも行動をスケジュールどおりに進めるための「今後の対策」が必要になります。ひとつひとつ丁寧に、課題と解決策を積み重ねてノウハウにしていきます。大切なのは「丁寧に」という部分であり、できるかぎり似た事象がおこった際に行動が滞らないようにしたいわけです。

差分をいかに埋めるか議論する

 スケジュールどおりに行動が進んでいるにも関わらず、想定どおりの売上進捗がみられない場合、ふたつのことが言えます。ひとつは「行動計画が甘かった」。つまり、目標売上に到達するほどのアクションではなかった。もうひとつは、「目標売上が高かった」です。いずれも同じことを意味するわけですが、定例会議で議論したいのは「目標売上との差分をいかに埋めるか」です。新商品の投入や販促企画、もしくは集客戦略を入れられるか、内容を高められるかを議論することになります。

 当然ながら、月末までの残り時間が限られる中で施行できるアクションは限られます。また、業務時間も限られますから、前提条件がある中での最善策を検討していかなければいけません。場合によっては目標売上の下方修正もありえます。がんばっても届かない目標売上を議論するよりも、少し頭に汗をかき行動すれば到達する目標売上を設定した方がモチベーションにもつながります。

 ECのスケジュール管理のポイントは、まずスケジュールを設定すること、そして状況に合わせて定期的にスケジュールを確認し更新していくことなのです。大切なのは「運用」にあります。

(次回につづく)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。