ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

商品ページは「感情にひびかせて、論理で落とす」【no.2143】 

 最近のECMJコラムではめっきり「商品ページの考え方」について書いていないのですが、ひさびさに書いてみたいと思います。

 まず前提として、EC売上は「商品力×提案力×集客力」の3点から構成されるとおり、「商品力」あっての「提案力(つまりページの見せ方)」になります。売れる商品をさらに売れるようにすることが提案力の強化であって、売れない商品を売れるようにすることが提案力の強化ではありません。売れない商品は提案力を強化したところであまり売れるようにはなりません。過度な提案力の強化で売れるようになったとしても、お客様には満足いただけません。まずは「売れる商品づくり」を優先しましょう。

 というところを前提に、提案力を強化することによって売れる商品をさらに売れる商品に強化する考え方を書いていきます。

感情にひびかせて、論理で落とす

 商品ページのつくり方の基本は「感情にひびかせて、論理で落とす」です。これは、私がEC運営者をしていたときに前職の社長に教えてもらった言葉です。まずはお客様に直感的に「これ欲しい!」と思ってもらい、そののちに論理的に「買う理由」をつくっていきます。そして、「買う理由」とはあくまで「自分自身を納得させるための理由」です。つまり、「うわ~これ欲しい~・・うんうんそうだよね、やっぱり買った方がいい商品だよね」という具合にお客様を商品ページで導いていくのです。

 そのために重要になるのは、一発目に目に飛び込んでくる画像です。とにかくお客様が最初に目に触れる最初の画像が大事です。「うわ~これ欲しい~!」と思ってもらうための画像ですね。前職の社長的な表現をすると「グッとくる写真」なのですが、正直これは「グッとくる」という言葉でしか表現しようがありません。しかし「グッとくる」では意味不明なので、この言葉を解剖してみると「商品がもっとも魅力的にみえる写真」と言えるのではないかと思います。

「グッとくる」写真とは何か

 みなさんのECサイトで販売している商品はさまざまかと思いますが、その商品の一番の魅力は何なのか。競合商品と比べてもっともわかりやすい違い(選択動機になるもの)は何なのか。その商品はかわいいのか、かっこいいのか、おしゃれなのか、面白いのか。商品で一番伝えたい魅力が伝わる画像が「グッとくる」写真になります。そして、「グッとくる」写真を見つけるためには、様々な角度から商品を撮影しなければいけません。一発で「グッとくる」写真は撮れないんですね。たくさんの写真の中から「奇跡の一枚」を見つけなければいけないわけです。

 母の日はEC業界がもっとも盛り上がるイベントのひとつです。楽天市場でも母の日は力を入れているイベントなわけですが、大変長らく販売実績トップを保っていた商品があります。その実績トップの商品はお茶でした。店舗名や商品名などは詳しく書けませんが、一枚のメイン画像がこの販売実績をつくっていたといいます。この店舗の社長さんから直接聞いた言葉なので間違いありません。「試しに他の画像に変えたら売れなくなった」とも言っていたので、画像の威力は間違いありません。

 ちなみに、私の上司であった前職の社長も思いついたように商品画像の撮り直しをしていました。前職は貴金属のプチプラジュエリー屋さんで、売れ筋消費に「天使の羽ピアス」という1,980円の商品があったのですが、一眼レフカメラで撮り直した美しい画像よりも、画素数の粗いデジカメで撮った画像の方が売れたんですよね。幾度となく社長と議論し、理由はまったくわからなかったのですが、価格なりの画像というのがよかったのでしょうか。

 とにかく、まずはメイン画像で「感情にひびかせる」ことです。

(つづく)

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。