ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

商品ページの情報とSNSの情報を分ける【no.2144】 

(前回のつづき)

 前回のコラム(no.2143)では「商品ページの考え方」として、「感情にひびかせて、論理で落とす」を書きました。

 アドバイスとして元も子もないことではありますが、感情にひびかせるため重要なのは「メイン画像」です。そして、感情にひびかせる画像を取るための明確な解決策はありません。基本的にはさまざまなパターンの画像を撮り、ABテストを繰り返すことになるのですが、まずは社内のメンバーに「この画像、グッとくる?」と聞いてみるのがよいと思います。それだけでも、グッと工数が減るはずです。

*詳細画像の重要性の変化

 売れる商品ページのポイントは、ひとつはメイン画像、そして次にいわゆる「商品詳細画像・商品説明文」です。商品詳細画像は商品のディテール写真や装着写真・着用画像・調理画像・物撮り・カラーバリエーション画像など、そしてそれに合わせた商品説明文になるのですが、ここで一旦ステイです。これらのコンテンツはまだまだ商品ページの重要な要素でありますが、SNSの登場でその必要性がかなり補完されつつあります。

 ECサイト(ブランドでも同義)のSNSに画像や動画を投稿する(される)ことで、商品ページで伝えていた情報は補完できます。EC運営というとどこか「商品ページの改善・作り込み」というイメージがありますが、以前ほどの重要性はありません。なぜならユーザーがSNSで情報を見てから、ブランドのECサイトにアクセスする機会が増えているからです。さらに、商品ページでお客様(フォロワー)に提供できる情報より、SNSで提供できる情報の方が多いことも事実です。

*ECサイトの情報とSNSの情報の違い

 今回テーマにしている「商品ページの考え方」の目的は「商品の魅力・差別性・活用方法をお客様に伝えること」です。これからのマーケティングでは、商品ページだけではなくSNSでの情報発信も含めて「お客様にブランドを伝えるコンテンツ」と考えた方がいいわけです。ECサイト上の商品ページで伝える情報と、SNSで伝える情報の「切り分け」も大切になります。

 たとえば、商品ページは商品の「基礎となる情報」を中心に掲載していくのが良いです。SNSでの情報は「使い方や楽しみ方、詳細の詳細」など「ケースにあわせた情報」が向いています。基礎となる情報はECサイトで知り、どうやって活用するか楽しむかを、他のユーザーの投稿と合わせながら確認する。こういったお客様が情報を取得する流れをつくるわけです。

 従来の商品ページでは必ず必要になっていた「装着写真、着用画像、調理画像」などは、SNSでのケースに合わせた発信や、お客様のSNS投稿でかなり補完ができます。加えて、ブランドのSNS戦略として「お客様からのSNSでの発信」を促していかなければいけません。ユーザーの声が、お客様にとって一番信用できる情報なのです。

*商品ページに付加すべきこと

 最後に、商品ページをつくる上でポイントになる項目をいくつか紹介します。

1:数値的な実績提案
 累計の販売数や業界でのランキングなど、実績を伝えることでお客様に安心して購入いただけます。

2:レビューの充実
 レビューが多いほど、お客様が安心して購入できます。上記に紹介したユーザー投稿もレビューと同じ役割を果たします。

3:専門家の評価の掲載
 お客様とは逆で、第三者である専門家からの評価があれば、商品の魅力を伝えることの裏付けになります。まさに「論理で落とす」です。

4:業界での立ち位置をアピール
 もし自社が商品ジャンルの業界でなんらかのポジションを得ているならば、積極的にアピールしていきましょう。

5:限定感の演出
 「いつでもどこでも買える」はお客様の魅力にはなりません。限定感を演出することで、「いまだけここだけあなただけ」感を伝えてください。

 これらを商品ページに入れ込む際、ひとつだけ重要な視点があります。それは「競合他社をみる」ということです。ご存じのとおり、ECは「比較の商売」です。あなたのネットショップは必ず競合他社と比べられています。どのポイントを「推す」ことで、競合他社よりも選ばれるか、その視点を大切にしてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。