ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

エンゲージメントを高めるためには【no.2149】 

 最近のデジタルのマーケティングにおいて無視できないのが「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは何か。そして、エンゲージメントを高めるためにはどうすればいいのか。これが今回のECMJコラムのテーマです。

*GA4に加わったエンゲージメントという指標

 まず、エンゲージメントとは何かを改めて考えていきます。エンゲージメント(engagement)とは直訳すると「婚約」「誓約」「約束」「契約」の意味を持ちます。マーケティングにおいてのエンゲージメントは「愛着」「興味」「結びつき」などの意味合いを持ちます。主に「エンゲージメントの高い顧客」「エンゲージメントの低いフォロワー」などといった使い方をされますよね。前者は「愛着が強い顧客」後者は「興味の薄いフォロワー」などという意味に捉えると良いと思います。

 このエンゲージメントという言葉は、数年前からデジタルのマーケティング界隈を中心に使われてきた言葉なわけですが、一気にこの言葉が広がったのは2023年のことかもしれません。ご存じの方も多いと思いますが、旧Googleアナリティクス(GA)が「GA4」という新しいマーケティング分析ツールに生まれ変わりました。このGA4への切り替わりのタイミングで正式に現れたのが「エンゲージメント」という成果指標です。

*エンゲージメントが重要視される環境に

 これまでのGAでのマーケティング分析指標は、セッション数やユニークユーザ数(UU数)、PV数でした。単純にWEBサイトの純粋なデータを分析するだけでした。これはこれで悪いことではないですし、純粋なデータをいかに組み合わせて活用するかがマーケターの腕の見せ所でもありました。しかし、GA4になり「エンゲージメント」という新しい概念が加わったのです。これは薄く広いユーザーを集めるよりも、深く濃いユーザーをWEBサイトに集めることを「推奨する」流れ、を示唆しているものと考えられます。

 X(旧Twitter)やInstagramといったSNSでも同様の現象が起こっています。エンゲージメントの低いアカウントはタイムラインでの表示が極端に減っているはずです。以前のような、とにかくフォロワーを集めればよい、といった状態ではありません。フォロワーを増やす策として、プレゼント企画やインフルエンサー活用などの手法を取ったアカウントは、そのエンゲージメントの低さにより、少しずつアカウントの価値を失っているのです。

 たくさんのフォロワーをもつアカウントよりも、確実に投稿に反応してくれるフォロワーをもつアカウントの方が重要視される(表示の可能性が高くなる)わけです。ちなみに、エンゲージメントを図るひとつの判断として、フォロワー数における「いいねの数」「リーチ数」を見てみてください。他社のアカウントと比較すれば、自社のフォロワーのエンゲージメントが高いか低いかがわかるはずです。

*1人1人のお客様との結びつきを強くする

 では、エンゲージメントを高めるためにはどうすればいいかです。答えはとてもシンプルです。1人1人のお客様を大切にすること、その結果、1人1人のお客様との結びつきを強くすること。これしかないのではないでしょうか。先のSNSの例でいうならば、自社の投稿にコメントやレスポンスをしてくれた方には気持ちの良いコミュニケーションを取る。テンプレの返答ではいけません。テンプレは必ず相手が気づきます。マメに丁寧にコミュニケーションを取り、1人ずつエンゲージメントを高めていくのです。

 インターネットの世界は、「広くたくさんの人に」というイメージが強いですが、市場はとっくに飽和状態です。むしろ「1人1人を大切にする」ことがポイントです。なぜなら、お客様やフォロワーはひとりの個なのですから。1人1人へのきちんとした対応を面倒がってはいけません。その対応ややり取りを「インターネット上の誰かが見ている」のも、デジタルのマーケティング本質でもあるわけですから。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから