ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「人はやればやるほどやりたくなる」習性を味方にする習慣術【no.2228】

 人は「やればやるほどやりたくなる」

 これは、ある業界団体の会長から聞いた言葉です。確かにそうだ、と深く納得しました。お酒を飲めばまた飲みたくなる。甘いものを食べればまた欲しくなる。タバコやギャンブルも同じで、習慣が頻度を呼び込み、さらにその行動を繰り返してしまう。悪い例ばかりに思えるかもしれませんが、裏を返せば人間にはそうした「やればやるほどやりたくなる」習性がある、ということです。であれば、この習性をポジティブな方向にうまく使えないだろうか、という話になります。

*「頻度を減らす」は難易度が高い

 私自身、最近感じるのは「買い物」です。服や靴、スポーツ観戦のチケットなど、最初はたまにだったのが、一度財布の紐がゆるむと購入頻度が上がっていきました。1回あたりの金額はさほど大きくなくても、月の終わりに振り返ると「こんなに使っていたのか」と驚くことがあります。カードの明細を見て愕然とした経験は、皆さんにもあるかもしれません。行動の「頻度」が自然に高まっているわけです。

 アルコール依存やスマホ依存をやめたいときに「頻度を減らす」ことがしばしば提案されますが、人間の習性を考えれば、根本的には難しいのではないでしょうか。週7日アルコールを飲んでいる人が週3日に減らせたとしても、結局また「今日も飲みたい」と思ってしまう。スマホも「見ないようにしよう」と思っても、気づけば元の頻度に戻っている。だから、結局は「バッサリやめる」しか本質的な解決にはならないと思うのです。私自身だと、夜にお菓子を食べる習慣がありましたが、完全にやめてからは不思議と欲しくならなくなりました。

*因数分解して習慣をひとつずつ育てる

 そして、この「やればやるほどやりたくなる」を良い方向に活かす方法です。

 習慣にならずに悩まれる代表的なものといえば「読書」や「勉強」の習慣でしょう。英語を学びたい、本を読みたいと思っても、なかなか続かない人が多い。実は、ここには複合的な要因があります。たとえばAI関連の本を読んで仕事に活かしたいと思っても、予備知識がなければ内容が難しく退屈に感じます。あるいは専門的すぎて興味が続かないこともあります。これでは習慣化する前に挫折してしまいます。

 そこで大切なのは、因数分解です。習慣化したい対象を大きな塊で捉えるのではなく、小さな要素に分けてみること。AIの本を読むことが目的なら、その前に「本を読む習慣」そのものを育てる必要があるかもしれません。AI関連でなくても、小説や雑誌、漫画でもいいのです。まずは「読むこと」自体を習慣化する。あるいは「AIに触れてみる」ことから始めてもいい。ウェブ記事を読む、簡単なアプリを試すなどでも立派な一歩です。そうすれば「AI活用」が習慣化します。

*ふたつの習慣化を同時に背負わない

 要は、習慣化できる「最小単位」を見つけること。そこから始めれば「やればやるほどやりたくなる」の法則が働き、続けられる可能性が高くなります。逆に「読書」と「勉強」というふたつの負荷を同時に背負ってしまうと、どちらも定着しないのです。

 人はやればやるほどやりたくなる。だからこそ、最初の「やる」をどう設計するかが大切です。いきなり大きな習慣に挑むのではなく、因数分解して小さな一歩から始める。そしてその一歩を続ければ、自然と「もっとやりたい」と思えるようになる。ポジティブな習慣を積み重ねていけば、それは必ず自分の力になります。ぜひ、自分にとって育てたい習慣を分解して、最初の一歩を試してみてください。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから