ネットショップに必要なのは「看板」ではなくヒット商品」【no.2234】
人はブランドを知ってから商品を知るのではなく、商品を知ってからブランドを知る。これはどんな会社が有名になっていくときにも必ず通る順序です。考えてみれば当たり前のことですが、最初から会社名が広く知られているベンチャー企業はありません。どんな会社でも、まずは商品やサービスを通じて世に知られていくのです。
ネットショップに置き換えると、自社のブランドを確立することを目標にするよりも、まずは人に知られ、人に買ってもらえるヒット商品を丁寧につくることが出発点になるということです。看板を立てることではなく、語られる商品を生み出すことを先に来させるのが大切です。
*ユニクロの名前が一気に知れ渡った商品
わかりやすい例として、「ユニクロ」を思い浮かべてみてください。
ユニクロは1990年代に少しずつ全国区になっていきましたが、当初は「安かろう悪かろう」の服屋という印象が強かったのではないでしょうか。初めは特別なブランド力があったわけではなく、他の「安かろう悪かろう」の量販店と同じように見られていたのです。しかしユニクロはある商品を発売したことで状況を大きく変えました。フリースですよね。
フリースは一時期、街を歩けば誰もが着ているほどの社会現象になりました。店頭に並べたそばから売れていき、店員が補充している間に棚が空になるほどの勢いでした。この大ヒット商品がユニクロという会社名を一気に広め、ブランドとしての信頼を確立するきっかけになったのです。その後もヒートテックやエアリズムといったメガヒット商品を次々と出すことで、ユニクロのブランド力はさらに強まりました。つまり、ユニクロのブランドを支えているのは、間違いなく商品なのです。
*avexもアーティストがブランドをつくった
音楽業界でも同じことが言えます。エイベックス(avex)という会社を最初から意識していた人は多くありません。むしろ「安室奈美恵」「浜崎あゆみ」「倖田來未」といったアーティストが先に有名になり、その成功が積み重なって「エイベックス=ヒットを生み出す会社」というブランドができていったのです。これもまさに、商品(この場合はアーティストや楽曲)がブランドをつくった典型例です。
ネットショップの現場でも全く同じことが起こります。まずはお客様に知ってもらえる、買ってもらえるヒット商品をつくることが何より大切です。そのヒット商品を通じてショップ全体を知ってもらい、信頼してもらうことで売上が伸びていきます。ブランドはその後に自然と着実に形成されていくのです。
そして、ECにおいてヒット商品の役割は売上を支えるだけではありません。お客様はその商品を目当てにショップに訪れますし、話題になった商品を検索してやってきます。つまりヒット商品は「売上の核」であると同時に「集客の核」にもなっているのです。このふたつの役割を兼ねているからこそ、ヒット商品を生み出すことはECサイトにとって決定的に重要なのです。
*ヒット商品は「育てる」もの
では、ヒット商品はどのようにつくればよいか。ここで大切なのは「狙い撃ちで一点突破をする」ことではありません。もちろん仮説を持って挑戦することは必要ですが、市場の反応が思ったように返ってこないことも多いのです。現実的な方法は、複数のヒット商品候補を同時に走らせることです。
たとえば3つから5つほどの商品を候補として用意し、それぞれに違った切り口や訴求ポイントを持たせます。その上でお客様の反応を見ながら、どの商品が一番「語られる」かを確認していきます。レビューやSNSでのコメントには、その商品が本当にヒットする可能性を秘めているかどうかが表れます。そこで得られた声をもとに商品を磨き込み、少しずつ育てていくのです。
このやり方であれば、一点賭けのリスクを減らしつつ、自然と市場が選んでくれる商品に注力していくことができます。ヒット商品を「育てる」感覚を持つことが、ネットショップ運営には欠かせません。
結局のところ、ブランドは商品を通じてしか生まれないわけです。人が語り、買い、リピートし、誰かに勧めたくなる。その積み重ねが「この会社は信頼できる」というブランドになるのです。だからこそ、まずはヒット商品を生み出し、そこからブランドを築いていくという順序を忘れないことが大切です。
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