「続ける」をなめてはいけない!残存者利益の本当の意味【no.2240】
ECMJの顧問先様で、いま非常に業績が好調な企業があります。
とある、実店舗とECの両方を展開している会社さんです。その会社さんは驚くべきことに、すべての店舗が前年同月比で売上を伸ばし、ECも含めてこの2年近く右肩上がりの状態を続けています。打ち合わせを重ねるたびに、「今月も全店舗が目標達成です」と報告を受けます。
しかし、当然ながら順風満帆にここまで来たわけではありません。
*コロナ禍の休業で倒産手前に
ショッピングモール内に出店しているこの会社さんは、コロナ禍の期間中、すべての実店舗を強制的に休業せざるを得ませんでした。当然、スタッフのみなさんの給与を止めるわけにもいかず、在庫整理や通信販売の手伝いなどを行いながらなんとか雇用を守る。経営的には限界に近い状態が続いていたのです。先の見えない不安の中で、「倒産の一歩手前」まで陥ったのです。
同業の中には、コロナをきっかけに実店舗を閉じ、事業を畳んだ会社も少なくありません。だからこそ、今の好調の背景には「残存者利益」があるのは間違いないとも思われます。世の中の市場が戻ってきたときに、供給側のプレイヤーが減っていた。その中で、事業を継続した企業が需要を拾い上げることができた。非常にシンプルな構造といえます。
*「残存者利益」といえばひと言だが・・
しかし、この「残存者利益」という言葉を「運が良かった」と軽々しく使うことには、少し違和感を覚えます。なぜなら「残る」ということは、言葉ほど簡単ではないからです。
「続ける」ということは、ある意味「辞める」よりもずっと難しい。「辞める」というのは一瞬の決断ですが、「続ける」というのは決断の連続です。先が見えない中、いつ報われるか分からない中で、日々小さな判断を積み重ねていく。しかも、その過程で「本当にこの方向でいいのか」「これ以上続けても意味があるのか」と何度も心が揺らぐわけです。それでも「続けたい」と思う意志があるからこそ、人は改善のアイデアを出せるし、今日より少しでも良くしようという発想が生まれます。
つまり、「続けたい」という強い意志が、結果的に「続けられる」状態をつくるのです。続けることは惰性ではなく、「続けようとする」努力の産物なのです。
*「続ける力」こそ、重要な経営資源
この会社さんがおこなった施策で象徴的だったのは、インバウンド需要を見据えて実店舗の一部を改装したことでした。歴史のある会社ですので、会社には変化に慎重な文化がありました。それでも経営陣やスタッフが現状維持に甘んじず、未来に備えて一歩踏み出した。結果、このインバンド向けの実店舗が大ヒット。決断がの積み重ねが、今の業績好調につながっています。
残存者利益というのは、「ただ残っていたら得られる利益」ではありません。どんなに状況が悪くても、環境が変わっても、改善を止めずに動き続けた人たちだけが得られる「報酬」です。だからこそ、「続ける」ということをなめてはいけません。続ける意志があれば、多少の不運も波も、必ず乗り越えられる。「続ける力」こそ、最も地味で最も強い経営資源なのではないでしょうか。
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