ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

AI時代の情報発信。「思考」と「表現」をどう分離するか【no.2244】

 AIが一般化してきた今、企業としても個人としても「情報発信」がこれまで以上に重要になってきています。

 以前のECMJコラムで「AIとは『思考』と『表現』の分離である」という話をしました。AI時代においても起点はあくまで人間の「思考」側にあり、あくまでAIはそれを「表現」に変換する存在です。人間側の「入り」、世の中を「どう捉え、何を考え、どんな価値観を持っているか」が、これまで以上に問われていくわけです。

 今回は、AI時代に「入り」とともに大切になる「出」の部分、特に「情報発信」において、人間とAIがどう役割分担するべきかを考えていきます。

*AIに「思考を渡す」という意識をもつ

 AIが一般的なツールとして登場してから1年近く経ち、自分の生活や業務にAIを組み込み始めた方も多いと思います。ただ、その時に気をつけたいのは「AIを単なる『作業者』として使ってしまっていないか」という点です。

 たとえば、AIを活用して文章を書く場合です。ここで大切なのは、AIにそのまま文章を書いてもらう、のではなく、AIにまず自分の「思考」を渡して、それをAIに「文章=表現」としてまとめてもらう。この発想がとても重要です。AIに作業をしてもらうのではなく、まずAIに思考を理解してもらうのです。アウトプットの依頼は、その次です。

 文章でも、動画でも、音声でも、イラストでも、アウトプットは様々なのですが、まずは「自分がどう考えているか」をAIにきちんと伝える。これを絶えず続けることで、AIを自分の分身のような存在に育てていくことが大切なのです。

*「伝え方×伝える場所」に合わせ表現する

 そして、現代において「情報発信」というのは、ひとつの表現だけで完結しません。「何を伝えるか」だけでなく、「どんな形で伝えるか」「どこで伝えるか」、このふたつの掛け算が非常に重要になってきます。

 テキストで伝えるのか、動画で伝えるのか、音声で伝えるのか、イラストで伝えるのか。そして、それをどのプラットフォームにのせるのか。テキストならばXなのか、noteなのか、それとも自社サイトなのか。動画ならば、YouTubeなのか、TikTokなのか、Instagramのリール動画なのか。それぞれにユーザー層があり、最適な表現の「伝え方」があるはずです。ターゲット層に受け入れられるための、いわゆる「作法」です。

 この「伝え方 × 伝える場所」の設計こそが現代の情報発信における本質であり、この部分を「思考を理解した」AIに任せるという発想を持つと、可能性が一気に広がります。

*データ活用で細かくチューニングする

 つまり、人間とAIは複数の線でつながっているのではなく、「思考」という1本の線で深くつながっているのです。その1本の「思考」を起点に、AIが無数の形で表現を展開してくれる。これが現代の情報発信におけるAI活用の本質です。

 そして、その「表現」がどれだけユーザーに届いているのか、選択したプラットフォームに最適なのか否かはデータを使うことで判断することができます。ECMJでも伝えている「データ活用の考え方」をそのまま情報発信にも当てはめて、「伝え方×伝える場所」を常にチューニングしていく必要があるのです。

 今回、情報発信というテーマを通じて、改めて「思考と表現の分離と、AI活用の本質」について考えてみました。これからの時代において情報発信は「やるかやらないか」ではなく、「どう活かすか」が問われる時代に入っています。どのようなカタチでAIを最大限活用することができるのか、引き続き考えていければと思います。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから