ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

偶然を必然に変える、ECのヒット商品発掘術【no.2249】

 自社のネットショップのヒット商品をどうやって見つけるか。

 これはECを運営していく中で、多くの担当者が一度はぶつかる問いだと思います。当然、最初から「これが必ず売れる」とわかっていたら苦労はしません。実際のところ、ネットショップで売れるかどうかは、出してみないと分からない。これが現実なのです。

*まず、数を出して反応をみる

 まず大切なのは、「数を出す」ことです。ネットショップに商品数を出す。もし自社の商材が単品通販であれば、商品そのものはひとつでも、セット組みや容量違い、定期購入などでお客様への提案を工夫することで、複数の商品ページを生み出すことができます。結果として、どの提案にお客様の反応が集まるのか、つまりどの商品ページが探され、どの商品ページがスルーされるのかが定量的にわかってきます。

 では、なぜ数を出す必要があるのか、です。

 インターネットの世界では、どこに競合がいて、どの需要がすでに満たされているのかをすべて事前に把握することはまず不可能だからです。実店舗ビジネスのように商圏を目で見ることはできません。だから「このニーズは拾えるはずだ」と考えても、思い込みに過ぎない場合すらあります。似たような商品がすでに市場には存在していて、単に私たちの目に入っていないだけかもしれない。だからこそ、出して反応を見る。これが重要な方法なのです。

*商品(ページ)を4つに分類する

 ここで大切な指標になるのが「ページ別のセッション数」です。商品ページごとの訪問数を見ると、どの商品ページが見られているのかが一目で分かります。定期的にデータを見ていればわかると思います。閲覧されている上位のページと下位のページの差は驚くほどはっきり出るのです。そして、そのセッション数と実売データを組み合わせることで、商品を4つのパターンに分類することができます。

  1. 見られているし売れている商品
  2. 見られているけど売れていない商品
  3. 見られていないけど売れている商品
  4. 見られていないし売れていない商品

 この分類ができれば、自ずと次の打ち手が決まります。

 「見られているけど売れていない商品」はページ改善をすることで、実売という成果につながる可能性が高いですよね。「見られていないけど売れている商品」はサイト内での露出を増やしたり、広告をかけていけば流れが変わるかもしれません。そして「見られていて売れている商品」は、横展開・縦展開をすることでさらに商品やラインナップを育て、広告投入によって一気に実売を広げていきます。触れるまでもないですが、「見られていないし売れていない商品」は、撤退も選択肢に入れて構いません。

*「初速」で潜在需要の可能性を知る

 もうひとつポイントになるのは「初速」です。

 商品を発売した瞬間になぜか自然と売れてしまう。こういった初速のある商品は、市場に潜在需要が強く存在していた可能性があります。私自身も、ジュエリーを扱うネットショップでバッグを取り扱った際、商品登録したその瞬間に売れた経験があります。メルマガも告知もしていないのに、いきなり売れたのです。これこそ「すでに存在していただろう」潜在需要に入った証拠でした。その後、広告をかけて大きく伸ばすことができたわけです。

 初速の良い商品は、迷わず育てるべきです。広告をかけて拡散する。商品の横展開・縦展開をおこないでバリエーションを増やす。どれも効果が出やすいはずです。「初速を見極める目」にも気を遣ってみてください。

 ヒット商品は、ある種偶然の発見に見えることもあります。しかし実際には、数を出してデータを見て、初速の兆しを逃さず拾う。そうした地道なプロセスの積み重ねによって、必然に近づけることができるのです。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから