ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ゼロからではなく、運営から。ECにおける商品企画の本質【no.2254】

 ネットショップを成長させる上で、一番重要なのは何か。

*EC運営の情報を商品企画に活かす

 集客でしょうか、あるいはページの見せ方でしょうか。確かにインターネットのマーケティングを語るとき、UI/UX、SEOやSNSといった話題が中心になりがちです。しかし本質的に売上を左右するのは商品企画、つまり商品力そのものです。これは実店舗の世界でも同じであり、ドラッカー先生の言葉を借りれば「マーケティングの究極の目的は販売を不要にすること」──つまり商品そのものが顧客の心を掴み口コミされていく状態をつくることが最も大切だといえます。

 我々のようなコンサルタントの立場からいえば、正直「こういう商品を作れば必ず売れる」と断言することはできません。商品をつくる中心は事業者の皆さんですし、そこに我々が踏み込むのは難しい部分もあります。ただし、商品発売後のデータやお客様の声をもとに「こう変えればもっと売れる」という提案をすることは十分に可能です。商品をゼロから作り出すというよりも、現場の運営を通じて集まる情報をいかに商品改善に活かすか──その思考こそが、現場に必要な商品企画力ともいえるでしょう。

*商品企画力を上げる3つのポイント

 ECの商品企画力のポイントのひとつは「お客様が何のために商品を買っているのか」を明確にすることです。購入目的や商品用途、解決したい課題を拾い上げていくと、その商品がどういうシーンで選ばれているのかが少しずつ浮かび上がります。たとえば「仕事用に毎日使いたいから耐久性が重要」だと分かれば、提案の仕方(商品ページの構成)も「毎日使える○○専用」と具体的に打ち出すことができるわけです。お客様の利用目的を理解することが、商品そのものを磨くための出発点にもなります。

 もうひとつは市場環境の変化をつかむことです。Google検索のサジェストやショッピングモールのカテゴリーランキング、Googleトレンドの検索量推移などは、消費者が今どんなキーワードに関心を持っているかを示すシグナルです。大事なのは一度だけチェックするのではなく、定期的に観察して変化を探すこと。継続的なウォッチから需要が動いている方向にいち早く気づくことができれば、商品の改善や新企画につなげやすくなります。

 そして、商品企画に直結する情報源として欠かせないのがレビューです。とくに自社の商品レビューだけでなく、競合商品のレビューを観察することが有効です。競合で売れている商品でも必ずネガティブなレビューはつきます。たとえば「音質も機能も良いが、デザインが暗く女性が持ちづらい」といった声があれば、それは「機能性を活かしつつ女性向けにデザインを変えた商品」を投入するチャンスになります。ポジティブなレビューからは「選ばれる理由」を、ネガティブなレビューからは「潜在的な不満」を読み取り、それを自社の商品企画に転用していくのです。

*商品企画は必ずしも「発明」ではない

 また、人気商品の周辺に新たな需要が生まれることもよくあります。たとえばiPhoneの新色に合わせたアクセサリーや、Nintendo Switchに似合うカラーの周辺機器が次々に登場するのは典型例です。中心商品の勢いに合わせてデザインやカラーを近づけることで、ユーザーに受け入れられやすい商品を企画できる。こうした「付属・連動商品の企画」も、運営現場から拾えるヒントのひとつです。

 商品企画というと「ゼロから新しいものを発明すること」と思いがちですが、実際には日々のデータや顧客の声、市場の変化を読み解き、小さな改善や派生を積み重ねていくことが中心です。レビューを定点観測し、検索トレンドを見て、問い合わせの内容に耳を傾ける。こうした運営の習慣の中からこそ、次のヒット商品は生まれていくのです。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから