ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

中小企業は「採用幻想」を捨てよ。マーケティング人材は育てるしかない【no.2258】 

 EC事業の内製化を進める際、最初に直面するのはマーケティング担当を「誰に任せるか」という問題です。ECMJにいただく経営者さんからの相談でもっとも多いテーマのひとつが、「自社の誰をマーケティング担当にすべきか、それとも外から人材を採用すべきか」という問いです。

*担当者は「育成」以外ありえない

 マーケティング担当者の採用と育成、どちらが現実的か。結論から言えば、中小企業にとっては「育成一択」と考えるのが現実的です。

 理由はいくつかあります。

 第一に、需要と供給のバランスです。ある意味、世の中にはECサイトの数だけマーケティング担当者が必要と言えますが、採用市場に出回っている人材の数は圧倒的に不足しています。第二に、経験者のスキルの偏りがあります。WEB制作会社出身の方はWEB制作に強く、ネット広告の代理店出身の方ならばネット広告に強いといった具合で、EC事業を「トータル」で見られる人材はほとんどいません。第三に、キャリア志向の問題です。EC全体をリードできるレベルの人材は、中小企業の一担当者ではなく、大手のソリューション企業や広告代理店に流れていくのが残念ながら一般的なのです。

 つまり、マーケティング担当者は「即戦力を採用すれば解決する」という発想は、ほとんどの企業にとって幻想です。だからこそ、基本的には自社の中から素養のある人材を見つけ、育てていくしかありません。

*経験値があるパートナーに伴走してもらう

 では、育成はどのように進めればよいのでしょうか。

 まず注意すべきなのは、「担当を指名したからあとはセミナーに行って頑張ってね」という放置型育成ではうまくいかないという点です。外部の情報をそのまま持ち帰っても、自社の商品や顧客にどう当てはめるかは、マーケティングの経験値がなければ自分自身で簡単には判断できません。最初はコンサルタントやフリーランスといった外部パートナーに伴走してもらい、マーケティングの「判断の仕方」を学ぶ方が現実的です。

 そのうえで、社内で育成する人材に求めたいのは「デジタルネイティブであること」「自社の商品や業務に理解があること」「社内コミュニケーションが取れること」です。特別なスキルや経験よりも、素養と社内理解が重要です。

*まずは競合とのギャップを見つけることから

 育成のステップを大枠で示すと次のようになります。

 まずは会社理解。自社の商品・サービス、組織体制、既存事業の背景を知ることは、社内の協力を得ながら進めるために不可欠です。次に市場理解。3C分析の視点で、競合を設定し、まずは真似るところから始めます。そのうえでデータを見る習慣をつけます。数値管理表を用いて、施策と結果の関係を観察することがマーケティングの判断力を磨く基盤となります。

 さらに、競合ネットショップとの差分を洗い出し、自社の改善施策に落とし込むことが重要です。商品ページの見せ方や露出、メールマガジン、レビュー対応など、細かな違いを比較し、チームで議論する。これらの競合ネットショップとのギャップこそが自社のネットショップの改善の種になります。

 こうした改善サイクルを回しながら、書籍やセミナーで外部の知識を吸収し、自社の実践に結びつけていきます。そして最後に、定例会議で成果を振り返り、次のアクションにつなげる。この流れを繰り返すことで、少しずつ「判断の内製化」が進み、組織にマーケティング文化が根付いていきます。

 EC人材の育成に特効薬はありません。地道な積み重ねを続けられる体制をつくれるかどうかが分岐点です。採用幻想に頼るのではなく、育成を前提に仕組みを整える。これこそが、中小企業がECマーケティングを持続的に伸ばす唯一の道筋なのです。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから