ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「ECは会社の意思」空気を変える経営者の宣言【no.2272】

 EC事業の取り組みを成功させるために欠かせないのは、「会社としての意思を明確に示すこと」です。これは単なるスローガンではなく、経営層がはっきりと「我が社はECに取り組む」と宣言し、その姿勢を組織全体に浸透させることを意味します。

*明確な意志を会社に示すこと

 多くの企業ではEC事業は既存事業の後付けとしてスタートしています。製造や仕入れ、営業、店舗といった既存の仕組みの上に乗るため、どうしても「新しいことを試している」という雰囲気になりがちです。すると長年勤めているスタッフの中には、「ネットは苦手だ」「新しいことは面倒だ」と感じる人も出てきます。ときにはECやデジタルに対して嫌悪感を持つ人すらいます。

 このような空気感の中で、経営者が社内に十分説明もせず、ひっそりと「EC担当」を置いてコソコソと事業を進めても、良い結果にはつながりません。ECはあくまで販売チャネルのひとつであり、商品開発や仕入れ、営業、店舗の協力がなければ成り立たない事業だからです。全社的な協力を引き出すためには、「ECを事業化する」という明確な意思を組織全体に伝えることが不可欠である理由です。

*ECに取り組む環境整備も重要

 では、会社としての意思をどうやって社内に浸透させればいいのでしょうか。ポイントはいくつか挙げてみます。

 第一に、定例の会議でECを議題にすることです。定期的に会議の場で「ECの現状」「これからの取り組み」を経営層が話すことで、社員にとってECが単なる試みではなく、会社の重要なテーマであることが伝わります。

 第二に、評価制度に結びつけることです。社員が「協力すると損をする」と感じれば、本気の協力は得られません。評価制度を工夫し、ECを支える行動が個々人の評価のプラスに働くように仕組みを整えることが必要です。

 第三に、事業計画にECを明記することです。スタート直後のECは売上が小さく、赤字が続くかもしれません。だからといって事業計画に載せないと、社員は「本気ではないのだな」と受け止めます。たとえ目標が控えめでも「将来的に売上の柱にする」という意思を数字で示すことで、社員に本気度を伝えることができます。

 第四に、社内説明を丁寧に行うことです。なぜECをやるのか。ネットの可能性や顧客行動の変化を伝えることはもちろん、社員自身が日常的にECを利用していることを改めて意識させるのも有効です。「自分も消費者として利用している。だからこそ必要な取り組みだ」と納得感が生まれます。

 最後に、物理的な環境の整備も重要です。EC担当者が既存部門と同じオフィスで作業していると、画面を見ながら調査している姿が「パソコンで遊んでいる」と誤解されることがあります。営業など動き回る職種の人からすれば、モニターに向かう仕事はラクに見えるのです。EC担当者自身もその視線を気にして、既存業務を手伝うなど本来の仕事に集中できなくなるケースもあります。可能であればECチーム専用のスペースを設け、集中して取り組める環境を整えることをおすすめします。

*ECを「正式な事業」と位置づける

 ご紹介したこれらのポイントに共通するのは、「ECを会社の正式な事業と位置づける」ことです。意思を示し、仕組みに反映し、環境を整える。こうした取り組みが、社内の空気を「ECは会社の未来を担う柱だ」という方向へと変えていきます。

 ECは孤立したチームが勝手に伸ばせるものではありません。会社全体が意思を共有し、協力体制を築くことで初めて成長していくのです。その第一歩は、経営者がはっきりと意思を宣言すること。そこから会社に文化が生まれ、未来の成果につながっていきます。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 7.Eコマースのひと工夫

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから