ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

マーケティングに必要な期待値のコントロール【no.2273】

 ECビジネスに限らず、どのビジネスでも言えることですが、マーケティング施策をおこなうときに、あまりにも高い期待値で臨むことは非常に危険です。

 よくあるケースとして、市場をリサーチし、入念に事前の準備を整え、万全の体制でマーケティング施策を実行したにもかかわらず、期待していたような結果が出ないことがあります。実際には、準備の段階で想定していなかった出来事が起きたり、単純な「ヌケモレ」が起きたりして、結果につながらないということも珍しくありません。

 とくにデジタル時代のマーケティングにおいては、ひとつひとつの施策に対する期待値を下げることが重要です。そして、できるだけ多くの施策の機会をつくること。これが大切になります。今回は、「依存すること」の危険性について考えてみたいと思います。

*依存が生み出す「他責」

 つい先日、こんな話を聞きました。ある友人がクライアントから「見込み顧客を紹介してほしい」という依頼を受けたそうなのです。たまたまその友人の別の取引先に、クライアントのサービスが必要になりそうな方がいたため、紹介をすることになりました。

 ところが、アポイントの直前になって、その見込顧客(になりえる)の方が風邪をひいてしまい、結果としてアポイントは流れてしまいました。外から見れば、これは仕方のない出来事です。しかし、その紹介を受けた側のクライアントは非常に落胆をしてしまいました。営業の成果や事業の進捗にも関わる案件だったため、「なぜアポイントが流れる可能性を事前に知らなかったのか」と、紹介してくれた友人にまで不満をぶつけてしまったというのです。

 まさに施策への依存が生む圧力です。どれだけ確度が高そうに見える施策であっても、そこに過度な期待をしてしまうと、うまくいかなかったときある種のパニック状態になります。本来であれば「他の手段もある」と考えるべきところを、「この施策がうまくいくはずだった」という思い込みが強くなり、結果として他責の方向に感情が向かってしまうこともありえるのです。

*対人である以上100%はない

 マーケティングの成果として、売上や注文件数、問い合わせ数などが考えられますが、その成果に至るまでの施策には、本来さまざまなルートがあるはずです。インターネット広告、SNS、紹介、チラシ、ダイレクトメール、イベント開催、飛び込み営業など、方法はいくらでもあります。もちろん提案の仕方を変えれば、ある意味手段は無限です。にもかかわらず、「この施策は確度が高そうだ」という期待が強くなると、人間はそこに依存してしまうのです。

 この「確度が高そうに見える状況」こそ、一番危険な状態なのかもしれません。状況が良さそうに見えると、人は安心してしまい、次の準備の手を止めてしまうからです。だからこそ、どんなに有望に見える施策があったとしても、「これがダメなら次はこれ」という選択肢を常に複数用意しておくことが大切です。そして、どんな施策でも「100%成功することはない」という前提を、常に頭の片隅に置いておくことです。

*成果は機会の積み重ね

 マーケティング施策は、必ず成果が出るものではありません。たとえば、今回の事例のように風邪をひいてしまったり、別のトラブルが起きたり、タイミングが悪かったりするだけでも結果は変わります。それは自分自身の行動を振り返ってみても同じでしょう。提案を真剣に聞けるタイミングもあれば、他のことで頭がいっぱいで集中できないタイミングもあります。直前に何かしらトラブルが起きたら、提案を聞く余裕もないはずです。

 どれだけ完璧に見える施策でも、うまくいかない可能性は常にあります。だからこそ、ひとつの施策に依存しないことが重要です。成果はひとつの方法で作るものではなく、複数の機会の積み重ねによって生まれるものです。期待値をコントロールし、施策に依存しない。これがマーケティングを長く安定して続けていくための大切な考え方ではないでしょうか。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから