ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「広告費=利益」もあれば、「広告費>利益」も「広告費<利益」もある【no.0973】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「え~!まだあるんですか~!」

 七海さんと友花里さんは驚いて、イスからずっこけました。「まだあるんですよ、といってもいまお話しした考え方の延長線ですけれどもね」。麻間さんが言いました。

「最初にお伝えしたのは『広告費=利益』とする考え方ですね。これは、商品を販売して得ることができる利益をすべて広告費に回して、ネットショップにレバレッジ(=てこの作用)を加えていく方法です。お客様に対する商品の認知と顧客リストの獲得が目的でした。1度購入したお客様の方にリピートしてもらうことで利益を得ていくわけです」

「なんか、あとのふたつがわかった気がします」

 友花里さんが言いました。「おっ、さすが友花里さん。気づかれましたかね」。麻間さんが言いました。七海さんは何が何だか、いまだにわかっていないようです。

「じゃあ、友花里さんが考えたふたつ、お話してもらえませんか?」

「いま麻間さんが教えてくれた考え方って『広告費=利益』っていう考え方じゃないですか。『広告費=利益』があるなら、『広告費>利益』と『広告費<利益』のふたつのパターンもありえるんじゃないかと思ったんですよね」

 友花里さんは会議室のホワイトボードに書かれた「広告費=利益」の上に「>」の記号を、下に「<」の記号を書きました。

「いいですね~。大正解です。『広告費>利益』と『広告費<利益』のふたつのパターンがあります。まずは『広告費>利益』という考え方です。これはどういうことだと思いますか?七海さん」

 麻間さんは、麻間さんと友花里さんのやり取りをぼーっと聞いていた七海さんに突然質問を振りました。

「えっ!いきなり!?・・『広告費>利益』ってことは、広告費の方が利益を上回ってるってことですよね。ってことは、つまり、ネットショップとしては赤字ってことですか?赤字だったら、リピートのお客様がいないと元すら取れないってことになりますよね」

「七海さんのいうとおりです。『広告費=利益』であればマイナスはないですが、『広告費>利益』であればその時点ではマイナスです。インターネット広告を活用したときの過去のデータを何度も計算して、広告によって獲得したお客様がどれくらいリピートしてくれるのか、どれくらいの金額を使ってくれるのかがわかったら『広告費>利益』で攻めていくことができるわけです」

 友花里さんはノートにメモを取りながら、麻間さんに質問をしました。

「考え方として『広告費>利益』というのはわかるんですが、それって実際にはすごくリスクが大きいじゃないですか。実際にそんな選択をしているネットショップってあるんですかね」

「実はあるんですよ。というか、美容・健康系のリピート商材を取り扱うネットショップの業界では『広告費>利益』の状態になっていることが現状です」

「それってやっぱり、多少の赤字をみてでも、広告をかけなければいけないってことだからでしょうか?」

 友花里さんが続けて質問をしました。

「そうですね。どんなネットショップも広告費を増やしたくないというのが本心です。だからできれば広告をかけずにお客様にリーチしたい。ただ、手っ取り早い方法が広告であるのも事実です。すると、広告費のかけ合いになってしまうのですね。しかしながら、例えばGoogleのリスティング広告で1番目に出てくるのは1社のみです。たくさんの事業者で1番目を争うと、どうなりますか?」

「より広告費を出せるところが勝ちますよね」

 七海さんが言いました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。