ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「運営」担当者における改善指標【no.0343】

 「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら

 第四回目です。一回目に「商品企画・商材開拓」担当者の改善指標を、二回目に「制作」担当者の改善指標を、そして、前回三回目に「集客」担当者の改善指標として、「アクセス数(アクセス人数)」「顧客の獲得単価」「新規アクセス人数、新規会員数、新規購買数」を紹介しました。今回は、ネットショップの「運営」担当者における改善指標を考えます。

 まずは、ネットショップの「運営」担当者の仕事のおさらいです。「運営」担当者のミッションは、お客様のネットショップへの来店頻度を上げること。ネットショップをよりたくさん利用してもらうことです。ですから、「集客」担当者が「潜在顧客」「見込顧客」へのリーチした後、サービスを利用してもらい、サービスを利用してもらい続けてもらうのが使命ということになります。

 「運営」担当者のメインとなる仕事が、販売戦略のスケジューリングです。市場のトレンド、競合ネットショップの動向をチェック・予想しながら、いつ商品(サービス)をネットショップにアップするのか、そしてその期日から逆算して、「商品企画・商材開拓」担当者、「制作」担当者、「集客」担当者に指示を出します。また、販促企画やキャンペーンの検討、商品やサービスリリース後のメールマガジンを使った告知を行うのも「運営」担当者の役目です。タイミングよく企画や商品を考え出すアイデアマンであるとともに、各担当者のレベルとリソースの把握、仕事の進捗管理、マネジメントにも絡む大切な仕事です。

 では、「運営」担当者の改善指標を考えます。

1.リピート率
 シンプルかつ最重要の指標としてリピート率が挙げられます。改善指標にする一歩目として、ネットショップでの購入者を、これまで合計で1回ネットショップを利用してくれたお客様、合計2回以上ネットショップを利用してくれたお客様、この2つのデータに分けます。このデータを毎月取得し、その変化を改善指標にします。もちろん、1回ネットショップを利用したお客様がすぐに2回目の利用をしてくれるとは限りません。「最初の注文後(商品発送後)、1ヶ月以上が経過した」お客様について、リピート率計測の対象にするなど、自社での定義をしましょう。

2.リピート回数
 1人のお客様が平均して何回ネットショップを利用してくれたか、それを改善指標にします。リピート率が、新規顧客とリピート顧客の割合なのに対して、こちらは全お客様から計測を行います。1人のお客様が、平均して2回購入しているとして、もしその平均値が3回になれば、売上があがります。実際には0.1ポイントをいかにして上げるか、という話になるのですが、「運営」担当者の改善指標としても、ネットショップ自体の売上としても、直接的に響く大切な指標です。

3.販促企画の回数、メールマガジンの回数
 少し変化球の改善指標です。ひと月や一年など一定期間の間に、販促企画を何回行ったか、メールマガジンを何回発信したかを指標にする考え方もあります。この数字を改善指標にすることが特におすすめなのが、小中規模のネットショップです。リソースの少なさから、どうしても受注処理、物流・在庫管理、カスタマーサポートのバックヤード業務を優先してしまう、販促企画やメールマガジンの配信を、ズルズル後回しにしてしまうネットショップについては、「月に1回販促企画を行う。月に2回メールマガジンを配信する」と先に定義をしましょう。「手が空いたらやる」「アイデアが思いついたらやる」ではなく、まず「やるということ」を前提条件にすることが大切です。「やる」と決めてから、「やるためにはスケジュールをどう調整すればいいか」を考えてください。

 商材、ビジネスモデルにより様々ですが、「運営」担当者の改善指標について考えました。次回は、「システム」担当者の改善指標について考えます。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。