ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

広告は「やりっぱなし」にしてはいけない仕事の代表。【no.0253】

 ネットショップの規模別の課題「月商100万円」のフェイズ。(前回はこちら

 前回は、月商100万円のフェイズで行う、「商品別、商品カテゴリ別の販売実績表」を用いた受注分析についてお話しました。今回は、広告分析です。月商100万円のフェイズに到達すると、インターネット広告を施策の選択肢に入れることができるようになります。広告戦略を進めるためには、必ず効果検証の仕組みを用意しておかなければいけません。広告は、「ほったらかし、やりっぱなし」にしてはいけない仕事の代表格です。

*月商のうちの5%~10%を広告予算として確保する

 広告戦略についてもう少し突っ込んでお話します。月商100万円のフェイズになると、「広告予算が取れるようになる」という表現でこのフェイズにおけるインターネット広告という課題に触れているわけですが、実際には「月商100万円のフェイズまで、インターネット広告を使わない方が良い」、というのが本音です。もちろん、取り扱っている商材や商品、企業の考え方によりますが、月商100万円までは、内部(ネットショップのサイト)の改善と、お金を使わずにお客様を集めるための手間と努力に時間を費やした方が良いと思います。広告をかけなくても「月商100万円」売れるネットショップだからこそ、広告をかけた効果が見込めるのであり、広告をかけなければ売れないネットショップはそもそもの付加価値を再度考え直した方が良い、ということです。

 話を戻します。月商100万円に到達したネットショップだと、月商のうちの5%~10%を広告予算として確保できるようになると思います。仕入原価50%、人件費25%、物流費5%、システム利用料(ショッピングモール、ロイヤリティ、カード決済手数料等)10%、そして残りが10%というイメージで計算してみました。小売りのネットショップだと仕入原価が60%程度まで上がり、製造メーカーのネットショップだと30%程度まで下がることが多いかもしれません。また、自社サイトでネットショップを運営しているならば、システム利用料が5%程度まで下がるでしょう。自らのビジネスをイメージして計算してみてください

*複合的な要因がない状況で広告の出稿を行う

 さて、5万~10万の広告予算の使い方です。最初は、「どの広告」に「どんなテキスト(画像)」を出稿して、「どの商品」を「どんな見せ方」をして露出すれば、新規のお客様に利用してもらえるか、データが一切ないところからのスタートになるかと思います。ですので、月商100万円のフェイズの広告予算の使い方として、まずマーケティングの活動の一環として広告を考えるところから初めてください。どの広告にどんなテキスト(画像)を出稿して、どの商品をどんな見せ方をすればいいのか、その成果データを取得し、次の広告戦略の精度を上げていくことを最初の目的にしましょう。

 成果を正しく判断するためには、できるだけ複合的な要因がない状況で広告の出稿を行うことが大切です。また、成果の比較がしやすいように、条件を揃えて出稿をしたいところです。前述のとおり、広告戦略のマーケティングとして「広告種類×広告内容×商品×見せ方」というポイントがありますが、「広告種類×広告内容×商品」という条件を固定した上で、「見せ方(ランディングページ)」のバリエーションをいくつか用意して、広告をかけてみてはどうでしょう。仮に「見せ方」を10種類用意した場合、広告をかけ、成果のデータを検証することで1番から10番まで、定量的な順位付けができるはずです。どんな見せ方が良いかを考えているうちは、「こっちが良さそうだ」「あっちの方が良さそうだ」と定性的な議論になりがちですが、ある程度提案に幅を持っておいて、実際に試してみれば良いのです。これができるのがインターネットビジネスの強みですよね。

 5万円~10万円の広告予算ならば、活用する広告種類はPPC広告とまず割り切る、商品はネットショップの売れ筋(できればエントリー商品)の1点に絞る。そして、「広告内容×見せ方」のバリエーションをいくつか検討し、試したいところです。広告からアクセスするお客様の購買行動が、自然流入でのお客様に比べてどう違うのか、「広告内容×見せ方」を改善することで、自然流入でのお客様に近づけることができるのか。ぜひ、データを用いてPDCAを回してみてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。