ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「物流」担当者における改善指標【no.0367】

 「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら

 第六回目でございます。「商品管理・商材開拓」「制作」「集客」「運営」、各々の担当者の改善指標を紹介してきました。前回五回目は、「システム・DB(データベース)」担当者の改善指標として、お客様が商品を購入された後に起こるバックヤード業務について考えました。今回は、「物流」担当者における改善指標について考えていきます。

 まずは、ネットショップの「物流」担当者の仕事のおさらいです。「物流」担当者のミッションは、商品を早く、正確にお客様にお届けすることです。テクノロジーが進化し、サイトの制作やインターネット広告の出稿が簡単になったり、一切手をつけなくてもシステムが自動処理をするようになったりしても、モノを扱っている限り必ず残り続けるのが「物流」です。(3Dプリンターでデータを売買する場合を除く)。商品の大きさや重さ、配送する移動距離など「絶対的に変えられない条件」がある中で、いかにしてお客様に早く、正確に商品をお届けするか。1秒1秒、1円1円を削っていくような仕事です。

 「物流」担当者の仕事です。まず商品を管理する仕事。商品を保管する倉庫の決定、倉庫内のレイアウトの検討、商品の品番と棚番の整理、バーコードリーダーや在庫管理システムなどの選択も「物流」担当者の仕事です。そして発送です。アルバイトの採用と教育、シフトの管理。入庫数と出庫数のコントロールが上手いか下手かで、業務効率が大きく変わってきます。納品書やダンボール、緩衝材などの資材の購入と管理。佐川急便やヤマト運輸などの配送業者とのコミュニケーションと交渉もあります。あとは、「システム・DB」担当者と連動して、在庫管理もしなくてはいけません。頭と身体の両方が強くないとできない仕事です。

 では、「物流」担当者の改善指標を考えます。

1.1件あたりの発送単価
 「物流」担当者の基本となる改善指標が「1件あたりの発送単価」です。配送料金、アルバイト人件費、資材費、システム利用料、保管料など、1ヵ月で物流部門にかかった経費を合計し、それを1ヵ月の発送件数で割った数字が「1件あたりの発送単価」ということになります。この「1件あたりの発送単価」をベースとして、「それを50円下げるにはどうしたらいいか。30円下げるにはどうしたらいいか」を考え、次の改善に繋げていきます。倉庫のレイアウトやピッキングの導線、配送ラインの組み方を工夫するだけで、アルバイトさんの業務効率が上がり、それだけで「1件あたりの発送単価」が大きく削減できる場合もあります。

2.顧客満足アップのサービス提案数
 物流基点のサービス提案は「1件あたりの発送単価」という改善指標と相反するものです。例えば「お客様ランクごとに異なるノベルティをつける」「1件1件の納品書に手書きでお礼文を書く」などの付加サービスは、結果として「1件あたりの発送単価」の数字を上げることになります。しかし、それによってお客様が感動し顧客として定着してくれ、結果ネットショップとしての売上が上がるならば、「1件あたりの発送単価」が上がっても良いわけです。「システム・DB」担当者と同様、「物流」担当者も、「1件あたりの発送単価」を切り詰め、新しい付加サービスを考案し、また「1件あたりの発送単価」を切り詰め・・という運用改善を繰り替えすことになります。もちろん、その運用改善により、ネットショップの物流がよりオリジナルで付加価値の高いサービスに進化していくのです。やみくもに物流部門の経費を切り詰めようとするのではなく、全体における経費のパーセンテージを決めておき、余剰分を新しい「物流」付加サービスに充てられるようにしておきましょう

 商材、ビジネスモデルにより様々ですが、「物流」担当者の改善指標について考えました。次回は、「カスタマーサポート」担当者の改善指標について考えます。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。