ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

在庫の商品はお客様にとっての「余りもの」ではない!【no.0957】

 在庫対策の具体的なアプローチについて紹介をしていきます。(前回はこちら

 具体的なアプローチには2つのパターンがあります。ひとつは商品ページの改善、もうひとつは販促企画での発信です。まずは商品ページの改善から考えていきましょう。

 商品が在庫になってしまうのには、いくつかの理由があります。商品力がないのか、商品の魅力を伝えられていないのか、それともお客様に見つけられていないのか。根本的な商品力があまりに低い場合はお手上げ状態ですが、仕入れの段階・商品企画の段階から目利きをしているはずなので、「全く売れない商品を在庫にしてしまった」ということはあまりないと考えられます。そうなると、いかに商品の魅力をお客様に伝えるかの「提案力」の改善をすることで在庫の流れが変わるか、という話になります。

 やはりキーポイントになるのは商品画像です。アパレル系のネットショップであれば装着の画像を増やしたりモデルを変えたりしてみる。食品系のネットショップであれば調理の画像を増やしたりシズル感のある画像に改善する。アウトドア系のネットショップであれば使い方・楽しみ方の画像を増やす。というような、改善を施します。

 この在庫対策における商品ページの改善は、在庫対策に限らず、通常のネットショップ運営においても同じことがいえます。どちらかというと、在庫対策の有効なアプローチは「いかに上手に」販促企画を立てるか、そちらにあります。

 販促企画を立てて在庫対策をおこなうとき、まず押さえておきたいポイントがあります。在庫対策というと、どうしても「在庫一掃キャンペーン」「半額値引き!」「1万円以上でおまけつき!」など、どちらかというと「余っているから、サービスしてでも売りたい」という販促企画を考えることが多くなりがちです。在庫対策としてこの方法もあるのですが、いったん落ち着きましょう。

 問題は、自分たちにとっては在庫という「余りもの」の商品であったとしても、お客様にとっては果たして「余りもの」なのか、ということです。お客様はその商品が「余りもの」だとは思いません。ネットショップの在庫管理のデータも見ることはできません。まず押さえておきたいのは「在庫=商品価値がない」わけではないということです。自分たちのイメージで安易に「サービス」に踏み切ってはいけません。

 販促企画による在庫対策は、お客様に伝えきれていなかった商品の魅力を伝えるためのひとつのチャンスだと考えましょう。具体的に販促企画をどうやって立てていくか、簡単に紹介をしていきます。

 まず在庫管理のデータを閲覧して、在庫の商品をどのように括れるかを考えます。在庫管理エクセルからできるだけ多くの「括り」を探してみてください。そして、その「括り」から連想されるテーマを考えます。そしてそのテーマを世の中のトレンドに合わせます。この「テーマ=トレンド」がバッチリ合うと、販促企画として面白い「買う意味」のあるものができるのです。

 ポイントは「テーマ=トレンド」がバッチリ合うか。ここがバッチリ合わない場合は、販促企画として説得力が弱いコンテンツになってしまうので、やらない方が良いということになります。在庫データの中からたくさんの「括り」を見つけ、一方で世の中の「トレンド」・お客様の「トレンド」の情報をリストアップしておき、あるひとつの「テーマ」で結んであげるのです。

 割引きや送料無料といった月並みのサービスではなく、販促企画の面白さで在庫を売ることができるネットショップを目指していくのがいいですよね。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。