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原価率が低くても、利益率が高くならない理由【no.1022】

 原価率が低くても、利益率が高くならない理由。(前回はこちら

「『利益率が高い』ということは、それだけ『違い』があるということなんです。それが『利益率』の価値の本質なんですね」

 鬼切社長の言葉に、友花里さんは納得をしていました。しかし、いまいち飲みこめていないのが七海さんです。七海さんは鬼切社長に質問をしました。

*本当に「利益率が高い=価値がある」といえるのか

「たとえば、コラーゲンとか美容関係のオンラインショップ。それに、健康食品関係のオンラインショップとか。利益率が高いっていわれているじゃないですか。私、いまいち『違い』がわからないし、いろいろあるから簡単に『利益率が高い=価値がある』とはいえないと思うんですけど・・どうなんでしょうか?」

 鬼切社長は七海さんの質問をいったん飲みこんで、返答をしました。

「美容系、健康食品系のオンラインショップはたしかに『利益率が高い』といわれています。ただ、『利益率が高い』というより、『原価率が低い』の方が正しいといえます。いわゆる『商品原価』が低いわけです。たしかに美容系、健康食品系のオンラインショップは『原価率は低い』です。しかし最終的に会社に残る粗利はけっして高くはないですよ。七海さん、なぜだと思いますか?」

*ポイントは広告宣伝にあり!?

 七海さんはだまって考えました。1分、2分・・あまりに七海さんが考え込むので、友花里さんが助け舟を出しました。

「広告宣伝に、ポイントがあるんじゃないかしら?麻間(あさま)さんが、『広告費>利益』のところでそんなことをいっていた気がします」

 七海さんは「ナイス!」といった表情で、友花里さんの顔をみました。「私もそう思ったんだよね~」と、友花里さんの方を向いていいました。鬼切社長がいいました。

「ま、まあ、そうですね。友花里さんにかなり助けられた感がありますが、それでいいでしょう。そうなんです。ポイントは広告宣伝にあります。美容系、健康食品系のオンラインショップはたしかに『原価率は低い』。ただ商材としては広告宣伝をかけないとお客様にリーチすることができないんですね。極端な例ですが、商品原価率10%、広告比率70%なんてオンラインショップもザラです」

「麻間さんが話していた『広告費>利益』の話からすると・・。1回の注文をもらうためのコストが販売価格を超えてしまうことだってあるってことですよね」

 鬼切社長の話を受けて、友花里さんがいいました。七海さんは鬼切社長と友花里さんのやりとりを、顔を振り向かせてみているだけです。

*広告宣伝をしないで売れるオンラインショップは?

「そう。美容系、健康食品系のオンラインショップの市場環境がかなり激化しています。もちろん、市場環境が激化するということは、それだけ『儲かりやすい』だったり、それだけ『参入障壁が低い』ってことだったりするわけですね。なので、美容系、健康食品系が必ずしも『利益率が高い』とはいえないんですね」

 七海さんが何かいいたそうに鬼切社長と友花里さんの方をみました。七海さんの様子に友花里さんが気付いて、「七海、どうしたの?」と聞きました。

「なんか、ちょっと思ったことなんだけど。こんなことってあるのか、よくわからないんだけども。もし広告宣伝なくても売れるようになれば、『利益率の高い』モデルができて、しかも『価値のある』オンラインショップになれるんじゃないかなぁと。こんなこと無いのかもしれないけども」

「ありえます」

 鬼切社長がいいました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。