ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「越境EC」トレンドワード化への危惧。海外展開はまず「toB」から。前【no.1025】

 「越境EC」が盛り上がってきています。

 越境EC関連のセミナーは、何百人収容の会場がすぐに定員になったようです。越境ECについての補助金も出る動きになっています。越境EC用のECサイトの構築だけではなく、広告宣伝費にも補助金が使えるのだとか。一昨年の終わりごろから少しずつ話題に上がっていた「越境EC」という言葉ですが、2016年の一番のトレンドになりそうな勢いです。

 越境ECが求められている理由。それは、国内ECで新しいお客様を得ることが難しくなってきた、という考えからでしょう。ご存じのとおり、Eコマースは全国大会です。そして、参入障壁が低く、次から次への競合店舗が現れます。国内のマーケットに限れば「供給過多」の状態になっていることは否めません。

 越境ECを成功させることができれば「需要<供給」のバランスを、「需要>供給」に戻すことができます。中国には14億人の人口、アメリカでも3.2億人の人口がいるわけですから、マーケットが大きく広がります。ただ、それ本当でしょうか?という話です。

 マーケットが広がれば競合も増えていきます。全国大会のEコマースから、世界大会のEコマースへステージが上がります。そんな市場の中で、あなたのネットショップ、あなたの商品を見つけてもらい、購入してもらうように、スムーズに進むのでしょうか。「日本の文化には世界中の人が興味を持っているはずだ!」というのはあさはかだと思うのです。

 越境ECの仕組みを整えないと、海外のお客様に商品を購入いただくことはできません。ただ、越境ECのECサイトを立ち上げるのは、あくまでスタートラインです。そののちの運用改善を重ねて、やっと果実を得ることができるようになります。「越境EC」をいうキーワードが、過去の「ホームページを立ち上げれば、問い合わせがくる」「ネットショップを立ちあげれば、全国から注文がくる」になっていないかが不安です。

 どうすれば越境ECが売上に繋がるのかが見えていないのに、仕組みをつくるソリューション会社だけが潤うような結末になっている気がするのですが・・もちろん、仕組みを整えないと売れませんし、努力によって実績を残すネットショップも出てくるとは思います。

 海外進出として狙うならば、「toC」よりも「toB」ではないでしょうか。とある、ネットショップさんの事例です。

 このネットショップでは2年前から海外からの注文がポツポツときていました。最初は月商に対して1%未満でしたから、「もの好きな方もいるんだね」という程度であまり気にしていなかったのですが、少しずつ注文数が増えてきました。そしてあるとき、海外からの注文が無視できない状態になります。ネットショップに突然、大量注文が入ったのでした。1回の注文で、数十万という金額です。

 誰がどうやってうちのネットショップのことを知ったのか、なんで一度にこんなにも大量の注文をしてくれたのか、話題になります。それでも1度目の大量注文は「売上を稼げて良かったね。これで月間目標にも近づけたね」というような、身近で現金な話題で終わってしまうものなのですが・・。そうしたら、次がきたんですよね、次が。同じように、数十万円分の大量注文がきました。

 こうなるといよいよこの手の注文が気になってきます。「もしかしたら、また注文がくるのではないか?」と期待をするようになります。ここでまず動くことは、「どんなお客様がなぜ注文をしてくれているのか」お客様自身に聞いてしまう、ということなんですね。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。