ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップのデータから、実店舗の施策を「定量的」に評価する【no.0749】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「七海さん、友花里さん、『定量的と定性的』ってわかりますよね?」

 麻間(あさま)さんの質問に、七海さんと友花里さんは「さぁ?」という感じで顔を見合わせました。

「ネットショップで毎日みることができるデータから、実店舗の『笹かまオニギリ』でおこなったカイゼンの効果を『定量的』にみることができるんですよ」

 麻間さんが説明をしても、七海さんと友花里さんは「ぽかん」とした顔をしています。

「七海さん、友花里さん、いいですか。『定性的と定量的』の違いは、その名のとおり『具体的な量があるか否か』ということです。『定性的』の性は『性質』ですよね。量は『数字』と考えてもらって良いと思います。たとえば、七海さんと友花里さんが実店舗の『笹かまオニギリ』でチラシを配ったとき、お客様の反応はどうでしたか?」

 「そうねぇ」と一瞬考えて、友花里さんがいいました。

「『あら、こんなのあったんだ』みたいな感じに反応してくれるお客様がけっこういました。『今度見てみよう』といっていたので、意外と好評だったんじゃないかと感じてはいました」

「そう!その反応と感覚が『定性的』なんですよ!」

 麻間さんがぱっと目を見開いていいました。

「いま、友花里さんが『けっこういました』『意外と好評』という表現でお客様の反応について話してくれたと思うんですが、それはあくまで友花里さんご自身の『感覚』によるものですよね。『けっこういた』というのは、具体的にはどれくらいいたか憶えていますか?」

「いやーさすがに覚えていないですね」。友花里さんが即答します。

「『けっこういた』というのは、表現としては曖昧なものですよね。1日に実店舗の『笹かまオニギリ』に、1,000人のお客様が来店したとして、そのうち10人が『あら、こんなのあったんだ』といったとしたら、それは『けっこういた』ことになるのか、どうなのでしょうか。1,000人中50人ならどうなのか、100人ならどうなのか、と考えていくと、『けっこういた』という表現は、そこに定義のない『定性的』な表現ということになります」

 「なるほど・・」。七海さんと友花里さんは、麻間さんの説明に納得しつつも、学校の授業を受けているようで少し気が重くなりました。それを察して、麻間さんがいいました。

「まあまあ、難しい話なので講義みたいになってしまってスイマセン。もうすぐ終わります。『定量的』というのは、『けっこういた』という表現ではなくて、この『1,000人中50人いた』とか『1,000人中100人いた』とか、そういう『具体的な数字で表すことができる』評価ということですね」

 七海さんが何かを理解したようにいいました。

「なるほど・・。麻間さんがご説明されたことが何となくわかった気がします。実店舗でチラシを配って、ポスターを掲示して、私たちは『けっこう反応がいい』というような『定性的』な感覚でその成果を捉えてたわけなんですけども、ネットショップの『笹かまオニギリ』に出てくるデータを見ると、『アクセス人数が30人なのか60人なのか』みたいに、その成果を『定量的』に捉えることができる、ってことなんですね」

 「さすが七海さん!理解が早い!」。麻間さんが七海さんに向かって、小さく手を叩きました。七海さんは、イマイチ理解ができていない様子の友花里さんに、「定性的と定量的の違い」を説明しています。

 麻間さんがいいました。

「七海さん、友花里さん。『定性的と定量的』を考えるときに、もうひとつ大切なことがあります。『主観的と客観的』の関係です。『主観的と客観的』という言葉は、わかりますよね?」

 「はっきりいって、自信がありません」。七海さんと友花里さんは声を揃えていいました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。