ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

実店舗の存在がEコマースでも有利に働く4つの理由【no.0387】

 これからのネットショップの主役になるのは、「商品が作れる」・「実店舗がある」のいずれか、もしくは両方を叶えている事業者になります。インターネット専業のEコマース事業者を否定しているわけではありませんが、一部の例外(どの業界にも特例はいます)を除いては厳しい戦いになるでしょう。リアル・ネット関係なく「商品力」は商売の一番の差別化要素です。「商品が作れる」ことがネットショップの主役の条件になるのは言うまでもないと思います。では「実店舗がある」ことがなぜ条件になるかです。まとめてみます。

1.実店舗があると、その存在を知ってもらうことができる
 実店舗はそこに存在しているわけです。街の外れにあったり、山奥にあったりしない限り、実店舗の前には人通りがあります。それまでブランドの存在を知らなかった人でも、看板を見たり、ポップを見たり、はたまた実店舗の店構えを見ることで、その存在を「認知してもらう」ことができます。ネットショップは、お客様から探されない限り「存在が無いと同義」です。また、潜在的なお客様にリーチするためのコストはこれからも高騰し続けていきます。ネットショップは無限に増えていきますが、お客様の数は有限なのです。実店舗の数も有限です。

2.実店舗があると、お客様と接することができる
 ネットショップでも、お客様からの問い合わせ電話やメールでコミュニケーションを取ることはできます。しかし、その多くがお客様からアクションによって起こります。もちろん、アンケート等でショップの側から接触を求めることはできますが、お客様全員と接触を持てるわけではありません。実店舗では、全てのお客様と接触することができます。接客という形ではなくても、お会計時に少なからずコミュニケーションを取ることができます。購入に至らなかったお客様に関しても、「どんなお客様なのか」を見ることができます。「なぜ買ってくれたか」「なぜ買わなかったのか」の意見を聞く機会も増えるはずです。データの取得はネットが有利ですが、情報の取得はリアルが有利です。

3.実店舗は、ネットショップと用途が違う
 お客様にとって、実店舗とネットショップはその用途が異なります。実店舗は商品を手に取ったり、試着したり、ショップのコンセプトを確認できるところ。ネットショップは商品をたくさん見ることができたり、他店との比較をしたり、時間関係なく注文ができるところ。目的が違うわけです。当然ですが、お客様の顧客満足を満たすためには、ネットショップだけではない、実店舗だけではない、両方の選択肢を用意しておくことが大切です。ネットショップ専業の会社が実店舗を持つのは容易ではないですが、実店舗をやられている会社がネットショップを持つのは、そう難しいことではないでしょう。

4.実店舗は、ネットショップと在庫を共有できる
 実店舗とネットショップで在庫を共有する仕組みを整えれば、在庫の残るリスクが半減します。ネットショップではお客様に見つけてもらえない商品でも、実店舗に置いておくことで商品が偶然目に入り、知ってもらえる可能性もあるわけです。これは、「1.実店舗は、その存在を知ってもらうことができる」と同じように、商品が「そこにある」からこそその存在を「認知してもらう」ことができます。また、実店舗は商品を展示できるスペースが決まっていますから、逆に実店舗に展示しきれていない商品をネットショップに掲載することができます。当然、それが在庫の残っている商品であれば、在庫対策にもなります。

 メーカーや卸の事業者がインターネットを活用して直販を進めている時代です。ネットショップ専業の事業者は成長が厳しくなっていくでしょう。もちろん、特別なノウハウを蓄積することで生き残る会社はあります、ただそれは一部です。「実店舗がある」会社はネットショップにより力を入れた方が良いですし、ネットショップ専業の会社はコストバランスを見て、実店舗に参入することを本気で検討しなくてはならない時代なのかもしれません。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。