ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

実績だけでなく予測で必要在庫を算出してしまうシステム。 【no.0123】

(前回のブログを読んでから、こちらをお読みください)

前回のブログで、

在庫の回転率と回転期間がちょっとゴッチャな感じになっていましたね。

すいません。

伝えたかったのは、回転期間を把握する方法で、回転期間は「在庫数÷一定期間の販売数」で取得できるんですが、これを隔週とか一か月に一度とか定期的に確認すると「あー、この商品、在庫10週分持っちゃてるなぁ」みたいな話になるわけです。回転期間は割り算での算出ですから、母数である「一定期間の販売数」が縮むと、一気に膨らむわけです。なので、毎日チェックしていても、膨らんだり凹んだりするばかりなので、あまり意味がないかもですね。

6月に発売したときは2週分の回転期間で推移していた水着も、8月も末になると、10週以上の回転期間になってしまったりして危険です。このままだと、来年までお蔵入り、もしくは来シーズンは一気にトレンドが変わって、全くのデッド在庫(死に在庫)になってしまう場合もあります。できれば、回転期間の推移を先読みして、早めにセールの手を打っておきたいところです。季節もののアイテムについては、在庫表を定番のものと別にしておく、という方法も良いかもしれませんね。

こんなわけで、販売実績と回転期間などから、「最低○コ、最高×コ」をシステムから算出して、在庫を持っているイーコマース事業者が多いと思うのですが、やはりシステムではカバーしきれない部分ってものがあって、ひとつは前述したシーズンの動き。商品データと在庫データを繋いで、シーズンのタグをつけることによってアラートを出すことが可能だとは思うけど、そんなシステムあるのかな。また、シーズンの細かい流れを把握するために、在庫システム内に気温の概念を入力するものとかがあれば、より在庫管理が正確になりますね。主に、デッドになる在庫を出さない、という意味で。

システムでカバーしきれない在庫管理というと、特集企画やキャンペーンみたいな、アクセスが一気に集中するときにどれくらいの在庫を持っておけば良いのかという判断。売れすぎて在庫がないと機会損失になってしまうし、かといってチャレンジ気味な在庫数を抱えると、売れなかったときに怖い。これ、なんとかシステムでならないのですか?という話が、先日参加した勉強会でも出ていたんだけども、これについてはデータだけで管理するのは難しそうですね。

どうやれば可能になるか考えてみたんですが、在庫管理システム内に、販売スケジュールを入力することができるようになれば良いのではないかと。つまり、1月21日から特集企画が始まるとか、3月10日にメールマガジンを1万人に流すとか、5月5日に200万円の広告をかけるとか、入力した販売のスケジュール(施策)と、その成果としての実績(つまり販売数)を計算することによって、インパクトに対して予測される必要在庫数をシステムから出していく

在庫システムからの「最低○コ、最高×コ」の算出というのは、あくまで販売実績がベースになってできているので、受注データを集計した結果の数字に過ぎない。つまりは、「結果」。ここに、システム上で「原因」という概念を加えることによって、在庫システムが判断する必要在庫がどんどんブラッシュアップされていくってわけです。現状だと、自分達で抱えておかなければいけない「原因」も、システムで管理しちゃう。機会損失って、ルーチンのイーコマース事業の中で起こるんじゃなくて、突発的な出来事に対してのインパクトに対応できず起こるものじゃないですか。内的要因・外的要因に関わらず。

在庫管理をより戦略するデータマーケティングのシステムとして、あった方が良いなと思うのがもうひとつあって、顧客データと連動した在庫システムかなと思います。どういうことかと言うと、顧客の属性や購入した商品、購入した順番、顧客がもっている商品に合わせて、抱えておく商品の在庫数が変動していくシステム。キャンペーンをかけて獲得した1万人のお客様の、初回購入の商品や顧客属性に合わせて、実績ではなく予測で必要在庫を算出してしまうみたいな感じ。こんなのがあったらいいのに。(これが書きたかった)誰か一緒に作りましょう。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。