ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「商品企画・商材開拓」担当者における改善指標。【no.0312】

 「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら

 前回は、売上・アクセス人数・注文件数(受注件数)・転換率(コンバージョン)・客単価という、ネットショップ運営の基本となる数値項目と、ネットショップ運営の7つの業務について説明しました。売上・アクセス人数・注文件数(受注件数)・転換率(コンバージョン)・客単価、この数字の大切さは十分に理解していても、「毎日」「徹底して」数字を見続けるのは決して簡単にできることではありません。この5つの項目は、ネットショップの運営における全体の成果の数字ですから、経営者や事業責任者だけではなく、Eコマース事業に関わる全スタッフが「毎日」「徹底して」チェックをするような環境を作っていきましょう。

 さて、上記を習慣化することだけでもラクではありませんが、ここからはネットショップ運営の業務における各担当者がどのような数値項目を日々追っていけばいいか、という話です。まずは、ネットショップ運営における7つの業務のうち、「商品企画・商材開拓」の担当者がどんな数値項目を指標にしていくかを考えてみたいと思います。

 と、その前に、「商品企画」と「商材開拓」の違いについて確認程度に説明をさせてください。「商品企画」は、自社のネットショップだけ(もしくはごく限られた複数の会社と)のオリジナルとして販売する商品を企画・製造すること、と考えてください。「商材開拓」は、商品を仕入れて販売するために、仕入先を探すこと、商品を探すことを指します。ネーミング的には「商材開拓」ではなく「商品開拓」でも特に問題ないかと思いますが、まあ、そこは深く考えずに。

 では、「商品企画・商材開拓」の担当者が日々の業務をおこなっていく上での指標・評価基準を考えてみます。

1.新作アイテムのヒット数、ヒット率
 商品企画、商材開拓の両方で指標になるのが新作アイテムのヒット数とヒット率かと思います。ヒットの基準はネットショップによって様々です。トータルの販売数や、売上を基準にしても良いですし、「発売から○日後までに××コ」というように、基準の条件として期間を加えるのも良いと思います。「メールマガジンを流した後に、▲▲コ」とかも良いですね。月間に発売した新作商品数のうちで、ヒットの基準に達したものを計算し、ヒット数・ヒット率を出していきます。1つ注意したいのは、ヒット率よりもヒット数を重視するという点です。ヒット率はあくまで確率です。絞りに絞った1商品をひと月に発売し、ヒット商品の基準を満たせば、ヒット率は100%になりますが、全体の売上は下がってしまうでしょう。まずは数を出すことに注力して、ヒット数を増やすこと。その後に、ヒット率を上げていけば良いと思います。決して先に、ヒット率ばかりを狙わないことです。

2.仕入先別の販売数、売上、ヒット率
 特に商材開拓をする場合に考えたい指標です。仕入先からどの商品をネットショップで扱うかは、あくまで「商品企画・商材開拓」の担当のセンスや勘、はたまた経験にゆだねられているかと思いますが、本当に最適な判断をおこなえるかと言えば、100%そうとは言いきれないと思います。複数の仕入先から、各々複数の商品をセレクトして販売する場合、担当者の意識と現実のズレを確認する意味でも、仕入先別の販売数、売上、ヒット率(基準達成数÷販売商品数)を評価することをおすすめします。もちろん、担当者の個性・センスがあるからこそ、ネットショップとしてのエッジが立ち、カラーがつくのですが、担当者が選んだものとお客様が選ぶもの、定量的なズレがわかれば、より的確な仕入れができるようになるはずです。

 商材、ビジネスモデルにより指標は様々ですが、今回は「商品企画・商材開拓」の担当者について考えてみました。次回は制作の担当者について考えてみましょう。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。