ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

まずは実店舗に来店したお客様に、ネットショップの存在を知ってもらうところから【no.0672】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 麻間(あさま)さんとのミーティングから、七海さんはネットショップのアクセス数をあげるために、まずは実店舗の「笹かまオニギリ」を訪れたお客様に、ネットショップの存在を知ってもらうことから始めることにしました。

 ネットショップのレイアウトを変えたり、デザインを変えたりする仕事はやらなくて大丈夫なのかと思った七海さんでしたが、麻間さんの意見をもらって考え方が変わりました。

「七海さん、まず『笹かまオニギリ』のネットショップは、実店舗の『笹かまオニギリ』に来店してくれたお客様だけを対象にするわけですから、現時点でネットショップのレイアウトやデザインをいじる必要はあまりないと思います。これが、ネットショップが『笹かまオニギリ』との初めての接触であれば、WEBサイトのレイアウト・デザインも気にした方がいいですが、最低でも一度、実店舗で『笹かまオニギリ』と接触している方がアクセスされます。正直、サイトのことはあまり気にしないでしょう」

 麻間さんの話はそのような感じでした。確かに、インターネットで初めて出合ったネットショップについては、どんなブランドなのか、運営している会社なのか、その会社ははたして大丈夫なのか、店舗情報を見たり、レビューを確かめたりします。しかし、リアルで知っているお店のネットショップについては、すでに安心感を持ってサイトをみてくれているはずです。

 なにより、実店舗の「笹かまオニギリ」を訪れてくれたお客様は、ほぼ100%、自分買いやお土産に笹かまぼこを買われていく方たちです。ネットショップの「笹かまオニギリ」で商品を買ってもらえるハードルもそう高くはない、と麻間さんは予想をしました。まずは、しっかり腰を据えて、実店舗からネットショプを知ってもらう機会を作っていきましょう、というわけです。

 麻間さんとのミーティングがあった翌日から、七海さんはネットショップを運営している実店舗のバックルームから、実店舗に出てネットショップの営業を始めました。実店舗担当の友花里さんは、突然、七海さんがパソコンを落して実店舗に出てきたので、ビックリしました。

「七海、あんたいきなり何やってんの?もしかして、ネットショップ、早くもあきらめたとか?」

「はぁ、何いってんのよ。まだスタートして1ヶ月もたってないでしょうに。違うのよ。昨日、猪井氏(いいし)先生と麻間さんとミーティングをして、まずは実店舗に来られたお客様にネットショップがあることを知ってもらうために動いてこうって話をしたのよ。どうすればいいかなと思ってさ。そうだ!友花里も手伝ってくれない?」

「いいけど、なんか具体的なアイデアはあるわけ?こっちだってレジとか品出しとかで忙しいんだから、あまり手がかかるのはイヤよ」

「まあまあ、そう言わずに。まずはさ、お店の中に『ネットショップもあります!』っていうポスターを貼ろうと思うわけ。いいよね?」

「そのくらいはもちろんいいけど、今は営業時間中だから、ポスターを作るのは手伝えないよ」

「いいのいいの。そこら辺はネットショップ担当の私がやりますから!」

 七海さんはそういって、バックルームに戻っていきました。1~2時間ほどすると、七海さんはA4のコピー用紙を2枚繋いだ直筆のポスターを持って出てきました。

「意外と上手でしょ」

 七海さんが書いたポスターには、おにぎり水産のロゴマークと笹かまぼこのイラスト、「笹かまオニギリ」実店舗のイラスト、そしてネットショップらしきパソコンとWEBサイトのトップページのイラストが描かれていました。ポスターの真ん中には「おにぎり水産ネットショップ『笹かまオニギリ』、4月1日よりOPEN!」と大きく書かれています。さすが七海さんも長年実店舗の担当をしていただけあって、ポップの作り方が上手です。

「あんた、全然手はなまってないわね」

 友花里さんが言いました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。