ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

わざわざネットショップを頑張る理由はない、けど新しい柱が欲しいなら【no.0808】

 既存のビジネスが上手くいっている間は、どうしてもEコマース事業を後回しにしてしまうものです。

 例えば、実店舗で小売事業を長く営んできた会社。例えば、製造メーカーとして大手企業に商品を卸していた会社。インターネットでの新しい販路、販売チャネルの拡大を望んでいたとしても、なかなか深い一歩を踏み出せない会社が多いのではないでしょうか。

 このような母体となるビジネスで着実に売上を上げ、しっかりと利益を出している会社は極端にいえば「わざわざネットショップを頑張る理由はない」のです。ネットショップに次の販路を求めたい、新しい事業の柱にしたいという気持ちは本心だったとしても、本気で取り組み続けることができるかは別の問題になってしまうものです。

 ネットショップでの売上が伸びないと、数か月後には会社が倒産してしまう・・というような会社ではないわけですから、優先順位が後に後になってしまいます。ネットショップへの取り組みも中途半端なものになってしまうわけです。

 心あたりがある方も多いのではないでしょうか。

 ネットショップの運営をおこなっていくにあたって、自社サイトやショッピングモールの選択、運営・運用の内製・外注の選択、システム導入や物流カイゼンなどのバックオフィス的なテーマなど、様々な課題があります。

 ただ、母体となるビジネスをおこなっている会社、つまりインターネット専業ではない会社がEコマースに取り組む場合、成功するか否かのポイントになるのは、第一に「取り組み方」です。

 まずは時間を取りましょう、とお話をしています。Eコマース事業について、ネットショップの運営について考える時間です。

 大切なのは、何をやるかが決まっていなかったとしても「先に時間を取ってしまう」ことにあります。ネットショップについて考えるための時間を、「毎週金曜日の13時から17時」「隔週の火曜日終日」「水曜木曜の午前中」などというように、「定期的に」取りましょう。

 Eコマース事業について何を話し合うか、ネットショップの運営について何を議論するか、データ分析に時間を使うのか、市場調査に時間を使うのか、WEB制作の評価をおこなうのか、ミーティングの内容は後から決めて構いません。

 時間を取っておかないと、「気づいたとき」「時間があるとき」「できるとき」にEコマースの事業を進めることになります。この「気づいたとき」「時間があるとき」「できるとき」という考え方は、逆にいえば「そうでなければEコマースは進めなくて良い」ということです。優先順位が後に後になってしまうのは当然でしょう。なぜなら、いま回している事業があるわけですから、そちらが優先されることになります。

 本気でネットショップを新しい事業の柱に育てることを考えているならば、いまこの瞬間にスケジュール帳にEコマース事業のための時間を取ってしまいましょう。その時間分の仕事は残りの時間に押し込むことになったり、やらなくても構わない仕事は削られたりしていくはずです。業務効率の変化も同時に起こります。

 とにかく話題があってもなくても、課題があってもなくても、Eコマース事業について考える時間を取って必ず「定期的に」集まる、話し合う、考える。当たり前ですが、継続すればどんな形でもEコマースの事業が前進していきます。

 一番もったいないのは、「気づいたとき」「時間があるとき」「できるとき」だけダラダラと「やっているのかやっていないのかがわからない状態」でネットショップの運営が進み、時間だけを浪費してしまうパターンです。もちろん、このやり方だと残念ながら結果は出ません。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。