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紙とWEB。編集とマーケティングの最大の「違い」とは!?後半【no.0536】

 紙とWEB。編集とマーケティングの「違い」

(前半はこちら

後半です。

紙とWEBの最大の違いであり、WEBを活用するための最大のポイントは、「読者の反応を詳細なデータで見ることができる」という点です。長く紙媒体の編集をされてきた方には、もしかしたら少しイメージがしづらいかもしれません。解説をしていきます。

 WEBの「編集」と「マーケティング」は、以下の4つの流れでおこなっていきます。

まず1つ目。編集会議で読者が「読みたい」記事の仮説を立てます。

こちらは、新聞や雑誌の編集の現場においても、すでに十分取り組まれていることだと思います。それとWEBも変わりません。

2つ目。仮説に基づき記事を作成し、WEBサイトに掲載する。

この部分も、「WEBサイト」を「紙面」に変えれば、現状の編集と何ら変わりはありません。

紙とWEBの最大の「違い」は次です。

掲載したコンテンツ(記事)に対する読者の反応を「データ」で確認する。

そして、最後。

その「データ」を元にして、編集会議で読者が「読みたい」記事の次の仮説を立てることになります。

編集した記事の評価をデータで確認すること、それを次のコンテンツづくりに役立てること。ここが最大の「違い」というわけです。

では、実際にWEBから取れるデータを具体的にどのように次に活かしていくのかです。

例えば、Aという新聞のWEBサイトがあったとします。A新聞のWEBサイトには様々なコラムが掲載されていますが、データを見ていると「石田麻琴の毎日10分の練習でホームランが打てる」というコラムがダントツで人気があるとします。今週も前週も前々週も、コラムの人気ランキングで第一位です。このデータが読めている場合、より読者に楽しんでもらうために、果たしてWEBサイトにどんな「編集」と「マーケティング」を施すかです。

まず、最初の提案です。単純に「石田麻琴の毎日10分の練習でホームランが打てる」のコラムの回数を増やします。月イチの更新ならば、隔週に。隔週の更新ならば、週イチの更新を打診してみます。次の提案です。筆者の「石田麻琴」さんに、他の切り口でのコラムを打診してみます。筆者のパーソナリティが「鉱脈」なのではないかと考えるパターンです。さらに次の提案です。「石田麻琴の毎日10分の練習でホームランが打てる」と似た系統のコラムを、「石田麻琴」さん以外の筆者にお願いします。これは筆者ではなくテーマが「鉱脈」なのではないかと考えるパターンです。こうやって、データを活用して「読者が読みたいもの」の仮説を立て、WEBサイトを編集するわけです。

WEBの「編集」と「マーケティング」はこのような流れでおこなっていきます。仮説を立て、記事を作成し、WEBに掲載する。その記事に対する読者の反応をデータで確認する。読者に読まれているものは強化し、読まれていないものは捨てる。新しいアイデアを追加して、さらに読者の反応をみてみる。以上を繰り返して、「70%を100%に近づけ、100%を超えさせ続ける」。これが、WEBの「編集」と「マーケティング」です。

紙面ではひとつひとつのコンテンツを数字で評価することができません。どうしてもその評価は「部数」に集約されてしまいます。また、その「部数」という評価が明確な数字として表れるのも、発行してから数ヶ月後になります。WEBはコンテンツ毎のデータを見ることができます。しかも、コンテンツを掲載した翌日すぐにその評価を見ることができます。ここが、紙とWEBの「違い」です。

WEBサイトを持っている企業はもはや少なくないと思います。しかし、もしもWEBの担当者がWEBのデータを見ていなかったとしたら、「WEBの力を半分しか利用できていない」という非常にもったいないことになります。なぜなら、WEBの「編集」と「マーケティング」は「データ」に基づくのですから。

おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。