著者:石田 麻琴

広島カープがFAで主力選手を獲得するためには?九【no.0059】

(ぜひ其の壱から順番にお読みください)
「広島カープがFAで主力選手を獲得するためには・・?」其の壱

 「広島カープがFAで主力選手を獲得するためには・・?」其の九です。

■成果の指標があれば、定性的だけでなく定量的な判断が可能に‥!

 「グッズを買っていない人にグッズを買ってもらう」施策のアイデアを出し、実行に移す前に、やっておきたいことは2点です。1つは成果の指標をどこに持ってくるかということ。もうひとつは既存のデータの収集です。2点とも、このブログでは良く出てくる言葉ですね。要するに、どんな課題でもアプローチするためのセオリーは一緒だということです。

 まだグッズを買っていない人にグッズを買ってもらう、とは言い換えれば「新規グッズ購入者の獲得」ということになります。マツダスタジアムの売店を使って、ここをいかに指標化していくのか、難易度の高い問題です。これがイーコマースであれば、注文データ上に出てきたレコードで顧客データにのっていないお客様は新規のお客様である、というように判断できるので簡単です。データで新規のお客様を集計し、日次・週次・月次でのアプローチに対する成果の指標として、施策を定性的かつ定量的に判断していけばいいのです。

 売店でグッズを買ったお客様から、それが新規の方かリピートの方かを判断することはできません。最高にアナログな方法を考えれば、いちいち購入したお客様に聞くという手段が考えられますが、もっとスマートに指標化していきたいものです。売店、ネットショップ関わらず、すべての購入者・購入データでの新規・リピートの判断が難しい場合は、データが取得可能なある一部分を指標化する方が良さそうです。そして、実際にお客様にアプローチするための施策も、指標化する一部分に成果が表れるようなアイデアにしていきます。

■この2つのどちらかを指標にするのはどうだろうか‥!?

 パッと思い浮かんだ指標化の案を書きます。

 1つ目は、新規のグッズ購入者が増えたか増えてないか、それは全てネットショップでのデータから判断するようにする、でどうでしょう。マツダスタジアムの売店でいくらグッズが売れていようがいまいが、広島駅の売店でマエケンのタオルが売れていようがいまいが、新規であるか否かが判断できない以上、成果の判断の指標としては切り捨てる。ネットショップ上で新規にグッズを購入したお客様だけを集計し、アプローチの成果としてそれだけを追い続けるということです。この場合、「マツダスタジアム観戦チケットのコードを広島カープ公式ネットショップでの購入時に入力すると、おまけや割引などの特典がつく」みたいに、ネットショップからのマーケティングデータで施策の成果が判断できるように施策のアイデアも寄せていきます。

 もう1つは、スタジアムの売店で判断をする方法。かなり強引なのでスマートではありませんが、初めてグッズを買う人専用のグッズショップを作る、というやり方。もちろん、グッズを何度か買っているお客様もそのショップで購入してしまう可能性はありますが、そこは徹底して無視。ショップとしてのコンセプトは「まだグッズを買ったことがないお客様に初めてグッズを買ってもらう店」なのですから、このショップでの購入者は全て「新規のグッズ購入者」という定義になります。「定義になります」というより「定義にします」の方が正しいですね。そして、このショップでの決済数(=ネットショップでいう購入件数。お買い物カゴ数)を成果の指標とします。新規のグッズ購入者を増やすことが目的ですから、ショップの売上は指標にしない方が良いでしょうね。

■「軸」は必ずしも完璧なものでなくて良い‥!

 前者や後者、もちろん他のC案があればそれでも良いと思います。ここで言いたいことは、案が良いか悪いかではなくて、何かしらの課題があり改善活動進める場合、まず「成果の指標」を決めなければいけないということです。そしてそれは、必ずしも完全なる成果の指標ではなく、一部の「軸」であれば良いということです。ネットショップでの新規顧客数であったり、新規顧客対象のショップの決済数であったり、です。成果が図りづらいからと言って、きちんと「軸」を設定せずに改善アイデアの検討を進め、それを実行しても、あくまで「主観的」勘からの改善にしかなりません。「良かったか。悪かったか」の定性的な判断しかできません。まず「成果の指標」という「軸」を持ってくることで、定性的で定量的な「客観的」数字からの改善が可能になるわけですね。ではまた明日。

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