著者:石田 麻琴

「食い逃げされるなら、バイトを雇え」と言いたい。 【no.0099】

 「食い逃げされるなら、バイトを雇え」と言いたい。 (2013年12月のリライト)

*無賃乗車は「なんとかならんもんかなぁ」

 無賃乗車を見るたびに、「これってなんとかならんもんかなぁ」と思う。さっきも最寄の駅の改札で、前を歩いていた人が、自動改札を強引に突破していった。自動改札の液晶モニターには「止まれ」の赤いサイン。私の前を歩いていた人、つまり無賃乗車男の後に続いていた人が立ちどまり、やっぱり「これってなんとかならんもんかなぁ」という顔をしていた。

 扉の閉まった自動改札、赤い表示が出た液晶のモニター、立ちどまった前の人。そして去りゆく無賃乗車男の一瞥するそのうしろ姿。「これってなんとかならんもんかなぁ」という雰囲気を漂わせていた。

 そしてこんなことが起きた場合、すぐ横の流れている改札に移動しなければならない。うまく横入りができればよいのだが、詰まっている場合は最後尾に。これも暗黙のルールである。

*「黙認」がコストバランス上、良いのかもしれないが・・

 無賃乗車をする人の気持ちはわからないが、おそらく軽い気持ちなのだろう。電車に乗っていると、数日に1人は無賃乗車の人がいる。今日の人も見た感じお金がないというより、ちょっとした節約術なのだと思う。

 当然、鉄道会社の方も無賃乗車の存在は十分承知しているだろう。しかしそれを管理するには「現状のスタッフの時間を割いて交代で番をさせる」か「番をするための人材を新しく雇う」か。いずれにせよ時間かお金の何かしらのコストを支払わなければならない。でもコストをかけ続ける分のリターンがあるかといえば、それはおそらくない。もしかしたら、きちんと計算していて、その上で黙認状態にしているのかもしれない。無人の駅だってあるくらいだから、おそらく計算していることだろう。

 これは正に「食い逃げされてもバイトは雇うな」の話。正しいっちゃ正しいのかもしれないが、私はそうは思わないんだな。だって、自分はちゃんと支払ってるのに、アイツはちゃんと支払ってない。しかもそれを見張ってない」。この事実は、優良な顧客にとって気分がいいものじゃなくないすか?

*効率化は「二方よし」を招いてしまう

 コストとリターンをベースにした考え方だけならば、無賃乗車男と鉄道会社で関係が成り立っているのかもしれない。しかし、優良な顧客に不利を感じさせるならば対策しなくてはいけないでしょう。つまりこれって、「三方よし」の考え方がベースにあるかっていう話ね。

 まあ現実的に、私はこれからも今の鉄道会社を使い続けると思う。そして、鉄道会社の新規参入なんてまずない。だからサービス悪化で潰れるなんてことはないんだろう。しかし「二方よし」になってるサービスって良くないと思うんです。「効率化」という名の元に、「二方よし」になってるサービス。

 ちなみに、無賃乗車の具体的な対策法を考えてみました。「人に管理させる」という永遠にコストがかかり続ける方法を抜いた場合、自動改札を突破した瞬間に写真を撮る仕組みにして(扉を二重にする)、顔認証のシステムを活用し、複数合致したら検挙の対象にする、データから行動パターンを読んで捕まえる、とかですかね。

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