著者:石田 麻琴

上級者でないものが「真似る」とき、徹底的に真似る【no.0534】

 上級者でないものが「真似る」とき、徹底的に真似る。(2015年3月のコラムです)

上級者を真似ることは、良い部分を見出し、盗むことではない

 何かを学ぶときに「まず上級者のやっていることを真似る」ことが重要だと思います。EC運営であれば、自社と同じ商材を扱っている上位店舗を真似ましょう。

 しかし、本人は真似ているつもりでも、はたから見ると「まったく真似られていない」場合がみうけられます。私自身、EC運営の相談に来られた方に、「商品のメイン画像の作成と、商品タイトルの付け方は、このオンラインショップを真似てみては?」などとアドバイスをすることがあります。

 「教えていただいたとおり、そのオンラインショップを真似て画像を作成しました!」。そう連絡いただき、変更された画像を見ると上級者のものと全く別物・・ということが。意識していなくても、知らず知らずのうちに、「自分の主観」が混ざってしまうのです。自分としては「真似て」いたとしても、はたからみると「全く別物」です。

 「まず上級者を真似る」は、「良い部分を見出し、盗む」ことではありません。そもそも自らは「上級者」ではないのですから、「良い部分だけを取り入れよう」ということ自体が間違っています。上級者のもっているノウハウは、上級者でない者にとってはわからないものなのです。

 「上級者を真似る」は、主観を抜きにして、すべてを「徹底的に」真似ることです。

盲目的に、何も考えず、無心で、徹底的に真似る

 例えば、オンラインショップのメイン画像の作成の場合です。アイテムを撮る角度を真似ます。照明の当て方を真似ます。画像の補正を真似ます。メイン画像のレイアウトを真似ます。フォントの種類を真似ます。フォントの大きさを真似ます。テキストを一言一句違わぬように真似ます。ここまで徹底的に真似ていくのです。

 コンテンツを盗んで掲載をするわけではないので、当然盗作ではありません。それに「徹底的に」真似たとしても、真似ているように見えないことがほとんどです。完全に真似ようとすると、スキルが足りないことに気がつきます。そして経験が足りないことに気がつきます。しかし、クオリティは時間が経たないと上がらないものです。時間を重ね続けていくことで、また新しい「気づき」が生まれます。

 まずは盲目的に、何も考えず、無心で、「上級者がやっていることを徹底的に真似る」。そして真似続ける。「この画像はおそらくここがポイントなのだろう」と主観で判断してはいけません。たとえ「ここってどうなの?」と思う部分があったとしても、実はそれが「本当のポイント」である可能性もあります。

「真似る」とき、自分の判断を入れてはいけません

 新入社員の頃、商品説明文を書くとき、「このページ、そのまま真似してくれて大丈夫だから」と言われました。丸パクリするのは悪い気がして、多少のアレンジを加えて商品説明文を提出しました。すると「そのまま真似でいいから!」と社長に怒鳴られたのです。その時は「真似るって変だろう」と思ったのですが、その意味がよくわかる気がします。

 上級者でないものが「真似る」とき、自分の判断を入れてはいけません。

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