著者:石田 麻琴

クリック数、注文数の他、もうひとつ広告の成果の指標。【no.1323】

(前回はこちら)

「ちょっと待って・・!なんか私がつくった広告文から買ってくれてるお客様が多いんだけど!」

 七海さんが突然大きな声をあげました。広告の表示回数とクリック数について話をしていた麻間(あさま)さんと友花里さんがスクリーンに写っている広告の管理画面の方を振り向きます。七海さんはノートパソコンに繋がれたマウスを手にとって、ブラウザの画面をポインターでグルグルと指しました。

「ねえ、ねえって。ここ、ここ。このコンバージョンってところが、私のつくった広告文が一番じゃない?」

 七海さんが興奮して言います。声のボリュームが大きく、友花里さんは少し面倒くさそうな顔をしました。「どれどれ。どこどこ」友花里さんがスクリーンからノートパソコンの画面に目を移しました。

「ほんとだ・・」そこにはたしかに「コンバージョン数;12」とありました。七海さんが書いたふたつ目の広告文です。

<七海案2(友花里案ベース)>
タイトル:イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ。
広告文:ピリリ、ツーン・・想像してみてください「わさび」の風味を。天然わさびに包み込まれた笹かまぼこを。お父さんの晩酌が満足度100%に変わります。

 この広告文が広告のクリック数580クリックに対して「12」の注文を獲得していたのです。ちなみに他の広告文がどうだったかというと、

・のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。 : 500クリック 8件
・毎日が晩酌!?のんべぇさん必見のわさび漬け笹かまぼこ! : 450クリック 5件
・のんべぇさん専用おつまみ登場。わさび風味の笹かまぼこ! : 520クリック 6件
・イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ。 : 580クリック 12件
・全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案。 : 650クリック 4件

 こういった状況でした。注文数がふた桁をこえたのは七海さんのこのアイデアだけだったことになります。各々の広告文に対する注文数をみて、テンションが下がったのは友花里さんでした。

「えっと。さっき、私の広告文が650クリックで一番だったっていう話をしたばっかなんだけど、お客様に注文いただけたのはたった4件だったと・・。なんで。信じらんない!」友花里さんが叫びました。友花里さんがこんなに取り乱すことはあまりありません。

「ふふふ。やった!」七海さんは取り乱す友花里さんを見て、不敵な笑いを浮かべました。

「お、いいところに気がつきましたね」麻間さんが言います。

「実は、『どの広告が一番クリックされたか』というのが今回のミーティングの主旨ではありますが、『どの広告から一番注文が多かった』かも検証しなくてはいけないと思っていました。七海さんの指摘、実は広告の管理画面を開いたときから気づいていました」麻間さんがそういうと、七海さんは「なーんだ。早く言ってくださいよ」と悪態をつきます。

「面白いですよね。たくさんクリックされる広告があれば、たくさん注文をいただける広告もあるということです。必ずしもたくさんクリックされた広告からたくさん注文がいただけるわけではないんですね。広告の成果というのは絶妙なバランスで成り立っています」麻間さんがいいます。

「クリック数、注文数の他に、もうひとつ広告の成果の指標を覚えませんか。コンバージョン率です。この数字は『注文数』を『クリック数』で割ると計算することができます。じゃあ、この5つの広告のコンバージョン率を計算してみましょうか」

 つづきはこちら。