著者:石田 麻琴

コンバージョンが高い方がいいかというと、必ずしもそうではない【no.1330】

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「クリック数、注文数の他に、もうひとつ、広告の成果検証の指標としての

『コンバージョン率』を勉強しましょう」

麻間(あさま)さんがいいました。コンバージョン率とは実行数値管理表でいう「転換率」のこと。広告を経由してネットショップにアクセスしたお客様が、広告ごとどれくらい転換したのかを計算しようというのです。麻間さんは七海さんの方を向いていいました。

「七海さん、コンバージョンの計算方法は?毎日つけてもらっている実行数値管理表の計算式と一緒なのですが」麻間さんは七海さんにニッコリ笑顔を見せました。

「注文件数(受注件数)をアクセス数で割ると転換率が計算されます。だから、広告の場合も『注文数÷クリック数』をやればいいのかな。『クリック数』がつまり『アクセス数』ってことですよね」七海さんは自信をもって答えました。

「じゃあ、今回の広告文の各々のコンバージョン率を計算してみましょうか」麻間さんがホワイトボードに書かれたそれぞれの広告文のクリック数と注文数を指さします。七海さんは立ち上がってホワイトボードのマーカーをとり、計算を始めました。

・のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。 : 500クリック 8件 転換率1.6%
・毎日が晩酌!?のんべぇさん必見のわさび漬け笹かまぼこ! : 450クリック 5件 転換率1.1%
・のんべぇさん専用おつまみ登場。わさび風味の笹かまぼこ! : 520クリック 6件 転換率1.15%
・イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ。 : 580クリック 12件 転換率2.0%
・全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案。 : 650クリック 4件 転換率0.6%

「こんな感じで大丈夫かな。友花里、間違ってない?」七海さんが友花里さんに助けを求めます。友花里さんは手元で携帯電話の電卓で計算をしていました。「間違いない。大丈夫だと思うよ」そう言います。広告のコンバージョン率をさっとみて、麻間さんがいいました。

「七海さん、友花里さん、どうですか?このコンバージョン率を見て。この数字は広告の管理画面で自動計算されるので閲覧することができますが、自分で数字を計算してみるとまた新しい気づきがあるのではないでしょうか?」そう言って、七海さんと友花里さんの顔を交互に見ます。先に口を開いたのは七海さんでした。

「二番目の広告文と三番目の広告文の転換率がほとんど変わらない。クリック数は三番目の方が高かったけど、注文に繋がった割合は同じようなものなんだぁ。ってか、最後の広告文の転換率低くっっ!」七海さんが気づいてしまったようです。

七海さんより先に気づいた友花里さんは恥ずかしさにずっと顔を下に向けていました。七海さんに合わせるように、そして友花里さんをフォローするように麻間さんがいいます。

「そうなんですよね。今回の広告文の中で一番クリック数が多かったのは友花里さんがつくった『全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案。』という広告文でした。ほぼ他の4つの広告文と同じ表示回数で、クリック数は抜けていて650クリックでした。ただ、注文に繋がった数とコンバージョンを比較してみると、七海さんの4つ目が数字的には一番高かったんですよね・・」

「やったぁ」七海さんは得意になった様子でいいました。しかし、麻間さんの話はそこで終わりではありませんでした。

「ただ、だからといって七海さんの広告文の方がいいかというと、そうとも言えません」

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